研究課題/領域番号 |
21K07469
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
脇田 英明 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80416172)
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研究分担者 |
水谷 謙明 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (30351068)
高橋 雄 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50770012)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性脳低灌流 / 血管性認知症 / アディポカイン / 大脳白質病変 |
研究実績の概要 |
慢性脳低灌流状態は血管性認知症の主要な病態であるが、近年、アルツハイマー病の増悪因子であることが報告され、慢性脳低灌流状態と認知症疾患との関連が世界的に注目されている。一方、アディポカインは脂肪細胞から産生・分泌される生理活性物質で、エネルギー代謝、脂質・糖代謝、炎症、血管新生などに関与し、脳虚血や認知症との関連が報告されている。本研究では、モデル動物の解析から慢性脳低灌流状態が脳内の様々なアディポカインに与える変化を解明する。2021年度は、アディポカインの時間変化、変化部位を検討した。Wistarラットに両側総頚動脈閉塞処置による慢性脳低灌流状態を負荷する。偽手術群、脳虚血導入1日、3日、7日、14日、30日後の6群を作製し、それぞれの動物脳について免疫組織化学を用いて、脳内のAdiponectin、Resistin、Leptinの各アディポカインの変化、変化部位を解析した。Adiponectinは大脳皮質で虚血導入1日から14日後まで陽性血管の増加を認めた。一方、海馬、脳梁、内包、線条体、視索では増加は認めなかった。Resistinは虚血導入1日から30日後まで海馬、内包、線条体で増加を認めた。一方、大脳皮質では増加は認めなかった。Leptinでは変化は認めなかった。本モデルでは、海馬、脳梁、内包、線条体、視索に虚血病変を認め、大脳皮質には病変を認めないことより、慢性脳低灌流状態では、Adiponectinは組織保護、Resistinは組織障害に関与していることが示された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、モデル動物の解析から慢性脳低灌流状態が脳内の様々なアディポカインに与える変化を免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISAを用いて解明する。2021年度は、脳内のAdiponectin、Aperin、Resistin、Visfatin、Leptinの各アディポカインの変化、変化部位を解析する計画であった。Adiponectin、Resistin、Leptin の解析を行なったが、Aperin、Visfatinは2022年度以降に実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降では、慢性脳低灌流状態での、脳内Aperin、Visfatinの変化を解析し、2021年度の成果とあわせて、慢性脳低灌流状態が脳内のアディポカインに与える変化を免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISAを用いて解明する。さらに、慢性脳低灌流状態負荷により変化したアディポカインについて、受容体を介したシグナル変化やエフェクター分子の変化について、解析を進める。また、アディポカインを制御する化合物などを慢性脳低灌流状態のモデル動物に投与し、虚血性白質病変に与える影響を検討する。これらにより、アディポカインの慢性脳低灌流状態や慢性脳低灌流状態負荷が誘導する虚血性白質病変に関する役割の全容を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、免疫組織化学を用いて、脳内のAdiponectin、Resistin、Leptin の慢性脳低灌流状態での時間的、空間的プロファイリングが得られたが、ウエスタンブロット、ELISAによる定量的評価は次年度以降に実施することになった。また、Aperin、Visfatinの解析も次年度以降に実施することになった。これらにより、次年度使用額が生じた。2022年度以降では、慢性脳低灌流状態での、脳内Aperin、Visfatinの変化を解析するとともに、慢性脳低灌流状態負荷により変化したアディポカインについて、受容体を介したシグナル変化やエフェクター分子の変化について、解析を進める。これらにより、アディポカインの慢性脳低灌流状態や慢性脳低灌流状態負荷が誘導する虚血性白質病変に関する役割の全容を解明する。
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