研究課題/領域番号 |
21K07475
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
栗林 理人 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80261436)
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研究分担者 |
中村 和彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80263911)
足立 匡基 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (50637329) [辞退]
長田 真人 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50964938)
高橋 芳雄 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 講師 (70760891) [辞退]
新川 広樹 弘前大学, 教育学部, 助教 (10848295) [辞退]
森 裕幸 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 助教 (60848307) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抑うつ症状 / パンデミック禍 / 自殺予防 |
研究実績の概要 |
児童思春期における子どもたちのメンタルヘルスに対するCOVID-19パンデミックによる影響について、パンデミック前とパンデミック下の抑うつ症状得点の成長軌跡パターンを特定するために、潜在クラス成長分析(Latent Class Growth Analysis: LCGA)を行った。測定時点は2019年9月(Time 0)、2020年7月(Time 1)、2020年12月(Time 2)、2021年3月(Time 3)の4時点であった。LCGAの結果、パンデミック前からパンデミック禍の抑うつ症状得点の成長軌跡には、抑うつ症状得点が改善している「改善群」、悪化している「悪化群」、パンデミック以前から抑うつ症状得点が最小程度だったものがそのまま継続している「低維持群」の3つのパターン(クラス)が存在していることが示唆された。このうち「低維持群」に解析対象となった子どもたちの82.7%が分類されたことから、抑うつ症状という観点からは、大部分の子どもたちはコロナ禍のような逆境的環境においてもメンタルヘルスを維持して生活している様子が窺えた。また、「改善群」に分類された児は8.4%存在しており、我が国においてもパンデミック下においてメンタルヘルスにポジティブな変化があった群が少なからず存在していることが示唆された。一方、「悪化群」には8.8%の子どもが分類された。うつ病は自殺関連行動(自殺念慮や自殺企図)の重大なリスク因子であり、抑うつ症状得点の悪化は、自殺関連行動の増加に繋がる恐れがある。我が国では、パンデミック禍となった2020年度に子どもの自殺者数が大幅に増加しており(文部科学省, 2021)、「悪化群」はこの自殺者数の増加と関連の深い属性を持つ群であると考えられる。このため、自殺予防対策を考える上では、この群の特徴を精査することが重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パンデミック禍における、子どもの抑うつの変位をとらえた、興味深い結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はリスクのある子供たちの臨床症状を検討し、支援のありかたを検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ASCAPAP2022で今年度の成果を発表する予定であったが、今回は行わなかった。次年度に、今年度の成果を発表することになった。
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