研究課題
本研究では、ゲーム障害における脳磁図を用いた研究結果を報告し、その神経学的メカニズムを解明することを目指した。ゲーム障害の診断基準を満たした14名(平均 15.0歳)と健常対象群14名(平均 15.0歳)に対して、脳磁図やMRIのデータ、自己記入式の評価尺度とゲーム時間を取得した。脳磁図測定においては、国立病院機構西新潟中央病院に設置されている306チャンネル全頭型脳磁計Neuromag VectorView(MEGIN社)を用い、cue視覚(依存しているゲームの画像)刺激課題施行中のMEG測定を行った。MEGデータの解析は,MatLab上で作動する画像解析ソフトBrainstormおよびSPM12により解析を行った。外部ノイズを除去するMaxfilter (MEGIN社)をかけ,空室データを用いてノイズ共分散行列を計算し環境ノイズの影響を除去し,各条件について加算平均をして誘発脳磁場を得た。さらにSPM12を用いて,被検者のMRI構造画像データから大脳皮質表面を網目状に加工した皮質メッシュを作成し,この網目の交点に活動源を設定した。構造画像データから得られる基準点とMEGデータの位置情報から得られる基準点を一致させ,ベイズ推定法を用いて分布電流源推定を行い,MNI標準脳上に展開した視覚誘発電位を得た。作成したCue刺激課題において、ゲーム障害患者が健常対称群と比較して右前頭葉、右眼窩前頭皮質の脳活動が高く、健常群においては両側海馬傍回の脳活動が高くなっていた。眼窩前頭皮質は渇望に関連することが指摘されており、これまでに行われたfMRI研究においてもゲーム障害患者において海馬傍回の活動低下が指摘されている。本研究は、ゲーム障害における脳磁図解析が、ゲーム障害の神経生物学的基盤を理解する上で重要であることを示した。
すべて 2023
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BMC Psychiatry
巻: 23 ページ: -
10.1186/s12888-023-05362-y