前年度に周波数間カップリングの評価指標については、位相振幅間カップリング(PAC)、位相位相間カップリング(PPC)、振幅振幅間カップリング(AAC)の計算プログラムをMATLAB上にてすでに実装済みである。 正常対照者62名および統合失調症患者61名において脳波計を用いて測定済みの聴性定常反応(ASSR)波形および、安静時脳波波形に、上記の周波数間カップリング計算プログラムを適用し、それぞれの被験者におけるPAC、PPCおよびAACの評価指標を得た。統計解析により、統合失調症患者群では正常対照者群と比較して、1)3-7Hz位相と57-100Hz振幅のPACが有意に減弱していること、2)3~9Hz振幅と30-100Hz振幅のAACが有意に減弱していること、3)PPCにおいては両群間での有意差が認めなかったことが見出された。また1)のPAC指標は統合失調症患者群において、陽性・陰性症状評価尺度によって得られた陽性尺度、陰性尺度および総合精神病理尺度とそれぞれ負の相関を有することが示唆された。
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