研究課題
本研究では、多施設の臨床データの共有によるrTMS治療の反応性と関連する臨床指標の同定と電気生理学的指標の探索によるrTMS治療の生物学的基盤と治療反応予測指標の確立を目的とする。大阪医科薬科大学精神神経科、関西医科大学精神神経科、和歌山県立医科大学神経精神科、浅香山病院精神科、阪南病院精神科で組織する関西TMSネットワークでrTMS保険診療の臨床データを共有している。2022年6月に開催された第118回日本精神神経学会学術総会でこれまでに登録された69症例のデータを紹介した(髙橋隼, 今津伸一, 戸井優樹, 佐野祥子, 池田俊一郎. 関西地方におけるrTMS療法の状況. 第118回日本精神神経学会学術総会)。年齢は40~50歳代が中心、男女比は約4:6で女性優位で、今回のうつ病エピソードの持続期間は長い患者が多く、6カ月未満が約25%、6カ月以上が約75%となっていた。rTMS療法の治療成績は、ハミルトンうつ病評価尺度21項目(HAMD-21)スコアが8点未満の「寛解」が約40%、HAMD-21スコアが50%以上改善した「反応」が20%であった。他方、不反応、悪化、中断も合計約25%認められた。生物学的指標に関しては、うつ病、躁うつ病、統合失調症、健常対照者を対象として構造MRIを用いた電界シミュレーション研究を実施し、結果を第117回日本うつ病学会総会シンポジウムで発表した。
2: おおむね順調に進展している
2022年度は臨床データを集計し、結果を学会報告できた。
今後は症例数のさらなる集積に努めるとともに生理学的指標の解析にも取り組んでいく。
2022年度は臨床データの集積に努め、次年度に繰り越しとなった生物学的指標の解析があるため。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
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巻: Online ahead of print. ページ: NA
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