研究課題/領域番号 |
21K07486
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
古郡 規雄 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20333734)
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研究分担者 |
篠崎 將貴 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10788582)
猿渡 淳二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (30543409)
徳満 敬大 獨協医科大学, 医学部, 助教 (30897799)
佐々木 太郎 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60837491)
菅原 典夫 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80431435)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血糖モニタリング / 統合失調症 / 糖尿病 / 24時間 |
研究実績の概要 |
低血糖症状は精神症状と類似しており、精神科診療の中で低血糖を把握することは困難である。そこで本課題では24時間血糖をモニタリングし、抗精神病薬服用による低血糖のリスク因子を明らかにすることで予後改善の可能性を見出す。 対象は抗精神病薬を服用中で糖尿病に罹患していない統合失調症患者52名であり、対象に24時間血糖モニタリング(リブレプロR)を施行した。平均年齢は56歳で、男性は26名、女性26名であり、48例が入院患者であった。52例中、1例2日目でリブレがはがれたためデータを採用しなかった。その他の症例では4日から14日のデータを得られたため、その平均値を用いて解析を行った。なお、本研究は獨協医科大学病院倫理委員会で承認後に行い、各患者から書面で同意を得て行った。 22時から8時までは平均血糖値が低血糖の指標となる80㎎/dlを下回っていた。特に22時から6時までは臨床的に重要な70㎎/dl以下になっていた。特に2-4時の間では80%の症例で、4-6時では71%の症例で低血糖を示した。最低血糖は40㎎/dlであった。24時間平均グルコース値の平均(SD)値は77.7(14.9)㎎/dlであり、変動係数CVは19.2%であった。目標範囲を80-140㎎/dlと設定した場合、目標範囲内であった平均(SD)時間は38(20)%でCVは52.2%で、あり、目標範囲以下であった時間は61(21)%でCVは35.3%、目標範囲以上であった時間は1.5(2.9)%でCVは187%あった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプリングが停滞している。さらに薬剤ごとの解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きサンプリングを継続する。統計解析をかけ、結果を公表する準備を行う。リアルタイムで変動が把握できる測定装置を一定期間用いることで、患者の食事運動療法の効果を直接捉えることができ、自身の生活スタイルの見直しにつなげることができる。これまで管理指標としてHbA1cが用いられてきたが、HbA1cのみでは不十分であることが近年の研究で明らかとなった(Rawlings et al., Diabetes Care 2017)。HbA1cは過去1-2か月の血糖平均値であるため、HbA1c値では食後高血糖や食前低血糖をとらえることはできない。この点を考慮し本研究では24時間持続血糖モニタリングを用いることは今後の精神科患者の必須となるかもしれない。今後の課題は低血糖の生命予後や陰性症状との関連を明らかにする必要がある。また、低血糖になるリスク薬を明らかにする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプリングの停滞により研究計画が翌年まで持ち越している。したがってかかる経費も翌年に研究のサンプリングの継続に使用する予定であるため。
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