研究実績の概要 |
統合失調症の生涯発症率は人口の約1-2%と言われている。しかし、ドパミン過剰による発症機序の解明が進む一方、グルタミン酸仮説に基づく発症機序や、皮質下構造の病態、関与する神経回路など未解明な点が多い。本研究では、すでにマウスで確立されている方法を応用し、NMDA型グルタミン酸受容体アンタゴニス トであるフェンサイクリジン(PCP: phencyclidine)誘導による統合失調症モデル コモン・マーモセット(以下、PCPマーモセット)を作出し、その行動解析を 行う。さらに、近年、統合失調症特異的に淡蒼球左優位に体積増加変化が起こることがヒトで明らかにされており(Okada et al., Mol Psychiatry, 2016)、 PCPマーモセットの定期的な脳MRIを撮像し、体積変化の画像解析を行う。最終的には、免疫組織学的解析を行うことで、病態と脳体積変化がどのように関係して いるのかを明らかにすることを目指している。 本年度は野生型マーモセット脳における淡蒼球の亜領域(腹側淡蒼球、淡蒼球外側・内側)の境界を決定し、解析を進めた。
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