研究実績の概要 |
Contactin5 (CNTN5)は、聴覚系において脳幹のグルタミン酸作動性ニューロンの発達に関与し、CNTN5 KOマウスで聴覚脳幹反応(ABR)の脳波潜時が延長していた(Toyoshima et al., Dev Biol, 2009) 。また、CNTN5および6の遺伝子変異を持つ自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder; ASD)患者は聴覚過敏を持ち、ABRの脳波潜時の延長を認めた(Mercati et al., Mol Psychiatry, 2016)。CNTN5の全エクソンをカバーするように設計した22個のプライマーを用いて、ASD患者のDNAサンプルのexon sequenceをABI PRISM 3130 x l Genetic Analyzerで行う。ASD群で検出された変異についてTaqman法で健常コントロール群に存在するかを確認して、症例対照で頻度を比較する。それらの変異についてin silico解析でその変異の有害度を推測した。これまでに8個のミスセンス変異が同定された が、そのうち4つ(rs778655565, rs186615197, rs771277271,rs757538847)がin silico解析(PolyPhen-2)によりDamagingと判定された。この4種の変異Cntn5-Fc融合タンパク溶液を作成し、CNTN5-FcとPTPRG(CNTN5と結合することにより神経突起伸長を促進)のcell surface binding assayを実施し、いずれの変異型CNTN5-Fcも野生型と比べてPTPRGとの結合が弱いことを示した。 またASDへの関連が示唆されているMAP4Kの阻害が神経発達に負の影響(神経突起長の減少)を与えるという研究結果をハイコンテントスクリーニングを用いて示し、Mol brain誌に採択された (Lasham et al., 2023)。
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