研究課題/領域番号 |
21K07497
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
塩入 俊樹 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40235487)
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研究分担者 |
大井 一高 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (70629203)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中間表現型 / 不安症 / パニック症 / うつ病 / ゲノム / 遺伝的共通性 / 遺伝的疾患特異性 / ポリジェニックリスクスコア |
研究実績の概要 |
不安症とうつ病は、遺伝率30‐50%の多因子遺伝を示し、臨床的・遺伝的に異種性を示す複雑な精神疾患である。その異種性を軽減するための有用な中間表現型として、性格傾向、脳構造/機能、認知機能、睡眠などが挙げられ、疾患と中間表現型間に共通する遺伝基盤の存在が想定される。一方で、疾患の病態解明には、遺伝的共通性だけでなく、遺伝的疾患特異性の検討も必要である。本研究では、不安症、うつ病、種々の中間表現型のゲノムデータを用いて、Polygenic risk score(PRS)解析やLD score regression(LDSC)解析にて疾患共通性・特異性に着目した遺伝要因を検討しつつ、不安症とうつ病を判別可能な遺伝的疾患特異性の解明を目指す。さらに、遺伝的共通性/特異性が認められた場合、Mendelian randomization解析にて中間表現型と疾患発症の因果関係を検討する。 日本人パニック症と欧米人精神疾患や各種中間表現型間の遺伝要因の共通性をPRS解析にて検討した (Ohi et al. Eur Neuropsychopharmacol 2021, Psychiatry Clin Neurosci 2021)。欧米人不安症、うつ病、神経症傾向、孤独感と関連するPRSは、日本人健常者よりもパニック症患者で高値を示した。一方、欧米人認知機能と関連するPRSは、日本人健常者よりもパニック症患者で低値を示した。さらに、欧米人児童における幼少時の睡眠障害と欧米人精神疾患間の遺伝的共通性をPRS解析にて検討した (Ohi et al. Transl Psychiatry 2021)。不安症とうつ病に関わるPRSは共に幼少時の睡眠障害と関連していたが、不安症のPRSは覚醒障害・悪夢と関連していたのに対して、うつ病のPRSは入眠障害・中途覚醒や過眠症と関連していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象である不安症患者、うつ病患者および健常者をリクルートし、被験者において、種々の中間表現型の評価およびジェノタイピングを継続している。これまでにリクルートした対象者について、PRS解析を行うことで、精神疾患の中では、欧米人不安症やうつ病と日本人パニック症間、中間表現型の中では、神経症傾向、孤独感、認知機能とパニック症間に遺伝的共通性を見出している(Ohi et al. Eur Neuropsychopharmacol 2021, Psychiatry Clin Neurosci 2021)。また、不安症とうつ病の遺伝的リスクは共に幼少時の睡眠障害と遺伝的共通性を認めたが、幼少時の睡眠障害の詳細を確認すると、不安症は覚醒障害・悪夢と、うつ病は入眠障害・中途覚醒や過眠症と遺伝的共通性を認め、幼少時の睡眠障害は不安症とうつ病間に遺伝的特異性を認めること確認した(Ohi et al. Transl Psychiatry 2021)。
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今後の研究の推進方策 |
不安症患者、うつ病患者および健常者のリクルートを継続的に行い、できる限りサンプル数を増やしたうえで最終的な解析を行う。生殖関連行動など他の中間表現型なども用いて、これまでと同様に、PRS解析やLDSC解析にて不安症とうつ病間の遺伝的疾患共通性・特異性を検討する。さらに、遺伝的共通性/特異性が認められた場合、Mendelian randomization解析にて中間表現型と疾患発症の因果関係を検討する。 共同研究機関と打ち合わせを継続し、研究成果を日本不安症学会、日本生物学的精神学会、日本神経精神薬理学会などの国内学会だけでなく、国外の学会や国際誌においても公表する。さらに、新聞などのマスメディア、インターネットなどのソーシャルメディアにて研究成果を社会・国民に発信する。
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