研究課題/領域番号 |
21K07498
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 真江里 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50778272)
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研究分担者 |
Bagarinao E. 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00443218)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 統合失調症 / MRI / functional MRI / 加齢変化 |
研究実績の概要 |
統合失調症の多くは思春期に発症し慢性・進行性経過をたどるとされている。実臨床では、 高齢のいわゆる慢性化した統合失調症患者の社会復帰は困難であり、病因病態の明確化とその治療戦略が望まれている。脳の磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging: MRI)を用いた研究から、疾病の経過とともに経時的に 脳容積が減少することが報告されているが、functional MRI (fMRI)画像を 用いた検討はされておらず、脳機能ないし神経回路の観点からは十分な検証がされていない。 今回、この疾患で加齢に伴う脳構造変化とそれに伴う機能の変化に焦点をあて、名古屋大学脳とこころの研究センターの健常者コホートで検証したデータ駆動型アプローチを用い、脳構造および脳内ネットワークの結合性の変化を捉える。 既報の研究で統合失調症のMRIデータを取得しており、本研究では、それに加え て50歳代以上の患者データを収集することを目標としているが、今年度取得したMRIデータの年齢構成は、20歳代3名、30歳代1名、50歳代1名、60歳代1名であった。引き続き、50歳代以降の統合失調症患者を中心にデータを取得する必要がある。 MRI解析については、新規ネットワーク指標であるFunctional connectivity overlap ratio (FCOR)(Bagarinao,et al., 2020)を用いて、統合失調症46名、双極症37名、健常者47名の安静時fMRIデータを対象に解析を行い、統合失調症と双極症ではともに視床においてconnector hubが障害されており、その障害の程度は双極症よりも統合失調症でより深刻であることを明らかにした。本結果は国際学会でポスター発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既報の研究ですでに一定数の統合失調症患者のMRIデータを取得しているが、加齢にともなう脳構造変化及びそれに伴う機能の変化を検証するためには50歳代以 降の統合失調症患者のデータを更に取得する必要がある。高齢の統合失調症患者の研究参加者募集に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに取得したデータを用いて、予備的解析を開始している。引き続き50歳代以降の統合失調症の患者データ及び臨床データを収集していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、統合失調症における加齢に伴う脳構造変化とそれに伴う機能の変化を捉えることを目的としており、50歳代以上の患者データを取得することが必要である。しかし、高齢の統合失調症患者の研究参加者の募集が予定より進まず、研究計画に遅延が生じたため次年度使用額が生じた。次年度は、引き続き50歳代以上の患者の研究参加を募り、MRI画像データ収集を継続する。MRI装置使用料、研究参加者への謝金、また研究成果報告のための諸経費として助成金を使用する計画である。
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