研究課題/領域番号 |
21K07510
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
井上 猛 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70250438)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小児期虐待 / 被養育体験 / 主観的社会的地位 / 特性不安 / 運動 / レジリアンス / 神経症的特質 |
研究実績の概要 |
1.2022年度にはうつ病を含む一般成人を対象に実施した質問紙調査データを用いて、小児期の養育体験、虐待、いじめがレジリアンスや神経症特質への影響を介して、抑うつ症状と労働生産性を悪化させるという仮説を検証した。その結果、小児期の低養育、過保護は神経症的特質を増強し間接的に抑うつ症状を増強すること、反対に、小児期の養育、低過保護はレジリアンスを増強し間接的に抑うつ症状を減弱することが明らかになった。さらに、レジリアンスは神経症的特質のうつ症状に対する影響に交互作用し、その効果を減弱することも明らかになった。 2.不眠や睡眠反応性は一般成人のうつ症状を悪化させるが、レジリアンスは睡眠のうつ症状悪化効果を有意に減弱する交互作用が認められた。 3.一般成人において、小児期虐待が主観的社会的地位を低下させることにより、特性不安を増強し、これらの3因子が職場におけるプレゼンティズム(生産性)を悪化させる連鎖反応を示すことが明らかになった。 4.1日の運動量とメンタルヘルスの諸指標との関連を一般成人で検討したところ、多くの指標で運動との関連は逆U字型になることが明らかとなった。通常の運動量であれば、運動量が多いほどメンタルヘルスは改善するが、過度に運動している被験者ではむしろメンタルヘルスが悪化していた。至適運動量からの隔たりは特性不安、神経症的特質、レジリアンスへの効果を介して抑うつ症状を間接的に悪化させていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに多数のデータを集め、多変量解析により精神医学にとって重要な所見がえられている。
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今後の研究の推進方策 |
現在研究計画を計画通りに推進して、研究成果を得たい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)順調に研究費を使用して研究を進めたが、年度をまたぐ研究のため、少額年度内に支出しきれなかった。しかし、次年度に継続する研究において次年度使用額を使用する予定である。 (使用計画)引き続き、データ収集のための消耗品、謝礼に使用していく予定である。
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