研究課題
1.2023度にはうつ病を含む一般成人を対象に実施した質問紙調査データを用いて、小児期の養育体験、いじめがレジリエンス、対人関係過敏性、特性不安、抑うつ的反すうへの影響を介して、抑うつ症状と労働生産性を悪化させるという仮説を検証した。2.その結果、小児期のいじめは特性不安と抑うつ的反すうを増強し間接的に抑うつ症状を増強することが明らかになった。すなわち、小児期のいじめは特性不安を増強することにより、成人期のうつ症状に長期的な影響を与えるのであるが、特性不安が強くなり抑うつ的反すうが増えることが抑うつ症状増強の心理学的機序であることが示唆された。3.さらに、小児期にうけた両親からの養育(養護および過保護)は対人関係敏感性に対する効果を介して、成人期のうつ症状に影響することも明らかになった。一方、小児期の養育と対人関係敏感性の影響は成人期の不安症状にも同様に影響していた。4.一般成人において、小児期にうけた両親からの養育(養護および過保護)が特性不安に影響することにより抑うつ的反すうに影響し、これらの3因子が職場におけるプレゼンティズム(生産性)を悪化させる連鎖反応を示すことが明らかになった。5.小児期にうけた両親からの養育(養護および過保護)はレジリエンスに影響することにより、抑うつ的反すうに影響し、さらに成人期の状態不安に影響する連鎖反応がみられた。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りに多数のデータを集め、多変量解析により精神医学にとって重要な所見がえられている。
現在研究計画を計画通りに推進して、研究成果を得たい。
(理由)順調に研究費を使用して研究を進めたが、年度をまたぐ研究のため、少額年度内に支出しきれなかった。しかし、次年度に継続する研究において次年度使用額を使用する予定である。(使用計画)引き続き、データ収集のための消耗品、謝礼に使用していく予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)
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