研究課題/領域番号 |
21K07516
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
椎名 明大 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任教授 (70436434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鑑定入院 / 医療観察法 / 司法精神医学 / アウトカム評価 / 付添人 |
研究実績の概要 |
初年度においては、まず国内外の文献調査を行い、医療観察法における鑑定入院制度及び類似の仕組みに関する最近の研究成果及び課題を抽出することを試みた。研究者は2021年6月に先行研究論文を出版しており、同論文に対する再評価も行った。その結果、類似の研究報告は散見されるものの、本研究のメインテーマである鑑定入院のアウトカム評価及び付添人弁護士との連携に関する知見は見いだされなかった。 そこで当初の計画通り、研究計画書を作成しつつ、研究協力者たる付添人弁護士の候補者リストを作成した。日本弁護士連合会及び弁護士情報提供サービスひまわりサーチのウェブサイト等を参照して、医療観察法付添人業務に従事している弁護士を要する弁護士事務所のリストを作成し、188施設を選定した。これらの施設に対する一次アンケート調査を行うために必要な調査票その他を含む研究計画書を作成した。 調査票の作成にあたっては、同年度に実施した他の研究結果を参照し、弁護士の立場上回答しづらい質問項目を削除あるいは改変するなどの作業を行った。 研究協力機関との連携及び施設に対する聞取調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い近隣施設が対応に追われあるいは入館制限を行う等の事情があり、今年度は多くを見合わせた。 なお、平行して責任能力鑑定と検察官による不起訴処分、医療観察法の申立てとの関係とこれに伴う鑑定入院の効能についても若干の分析を行った。その結果、鑑定入院の対象にならない患者に対する調査研究の必要性が顕在化した。本件については次年度以降新たな研究課題を立ち上げる所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行が想定よりも遷延し、研究協力機関たりうる施設をはじめ多くの施設で対策を余儀なくされており、施設外の研究者との連携が困難な状況が続いている。国内外の研究成果を見ても新型コロナウイルス感染症に関する研究報告が著しく伸びている一方でその他の分野の研究は遅れがちである。特に近隣の医療機関において研究者との接触が困難になっているため、一部研究計画を変更して実施している。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究においては医療観察法の対象者個人からの聴取が一次データとして大きな意味を有していたが、本研究においては鑑定入院中の対象者との接触が困難なことが予想される。このため次年度以降は対象者よりも付添人弁護士やその他の関係者に対するアンケート調査等を優先的に進捗させることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に行う予定だった研究内容の一部を次年度に回し、特に旅費に関して今年度の支出が過少となったため。
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