研究課題/領域番号 |
21K07518
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩本 邦弘 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50569796)
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研究分担者 |
小西 勇輝 産業医科大学, 医学部, 学内講師 (90739476)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 運転技能 / 認知機能 / 向精神薬 / 運転適性 |
研究実績の概要 |
自動車運転は地域生活の移動手段として不可欠であるが、統合失調症を含む精神障害者においては、十分な証左のないまま法律や薬剤添付文書により一律に制限されており、臨床現場における運転適性の判断は困難を極めている。本研究は、統合失調症患者の運転技能を運転シミュレータを用いて検討し、症状評価尺度、認知機能、視線解析、処方薬、運転行動などから運転適性判断を補助する指標を抽出することを企図し、サンプリングを継続している。 本年度については、運転免許を有し運転機会があり、病状が安定し、処方変更のない統合失調症外来患者43名と、対照群として性別、年齢、運転歴をマッチさせた健常者54名を対象に、標準化済の運転シミュレータを用いた、車線維持課題(横方向の揺れ)、追従走行課題(車間距離の維持)、飛び出し課題(急ブレーキ操作)の運転技能3課題、Continuous Performance Test(持続的注意)、Wisconsin Card Sorting Test(遂行機能)、Trail Making Test(注意、作動記憶、処理速度)の認知機能3課題、簡易精神症状評価尺度、臨床全般印象度、薬原性錐体外路症状評価尺度、Stanford眠気尺度、運転歴、運転頻度(回/週)、走行距離(km/年)を調査し、運転技能との関連を検討した。 認知機能については、患者群で全ての認知課題成績が有意に低下しており、患者群の運転課題成績は走行距離などの背景情報で補正しても、追従走行課題と飛び出し課題で有意に低下していた。ただし、健常群の成績分布を外れる割合は5%程度であり、年齢、簡易精神症状評価尺度、薬原性錐体外路症状評価尺度、抗精神病薬投与量、Trail Making Test成績が運転課題成績と有意な関連が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリングは当初目標の半分に到達している。
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今後の研究の推進方策 |
サンプリングを継続し、臨床現場でも活用可能な、統合失調症患者の運転適性を判断する臨床指標の抽出を試みる。また、機械学習を用いた解析も予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍状況にて、学会発表や研究打ち合わせがオンラインとなったことから次年度使用額が生じた。今後は学会出張や打ち合わせが増える可能性があり、これらの旅費や参加費に使用予定である。
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