研究課題
本研究では非てんかん性心因性発作の診断および治療に関する臨床的な研究を行う。具体的な目的は以下の通りである。1)非てんかん性心因性発作と、てんかん発作との鑑別に有用な生理学的・臨床的所見を明らかにする。2)非てんかん性心因性発作を持つ患者において、患者の発作症状・臨床特性などのデータから病型分類を行い、非てんかん性心因性発作を持つ患者に対して、病型分類に合わせた個別性の高い治療法を提供する枠組みを作成する。3)非てんかん性心因性発作を持つ患者の予後調査をし、病型分類、治療法の選択と予後との関連を明らかにする。2021年度は非てんかん性心因性発作を有する患者を21名に対して診療を行い、経過を観察中である。このうちてんかんも有する者は15名であり、てんかんを有していないものは6名であった。精神遅滞を有する者は7名であり、有しないものは14名であった。また非てんかん性心因性発作には精神遅滞を伴い環境不適応により出現する破局反応としての運動暴発型(クレッチマー型)と、精神遅滞を伴わず無意識の葛藤が身体化したと考えられるフロイト型に分類されるが、クレッチマー型が9名、フロイト型が10名、不明が2名であった。現在のところまだ少数例であり、精神遅滞の有無、発作症状、発症契機、成育歴、転帰等に一定の傾向は見いだせていない。今後、症例を集積していくことにより詳細な統計解析が可能になると考えられ、非てんかん性心因性発作の診療に関して有用な知見が得られると期待される。
2: おおむね順調に進展している
2021年度はすでに研究に21例を組み込むことができており、この1年間の組み入れ数としては順調であると考えられる。今の症例数では詳細な統計解析には適していないため、まだ明確な結論を出す段階には至っていない。今後も同じペースでの症例の組み入れが期待される。
今後も大阪大学附属病院神経科精神科およびてんかんセンターを受診する患者の中に一定数の非てんかん性心因性発作を有する患者が継続して存在することが期待される。そのため、年間10-20例程度の症例の組み入れを想定している。症例数が十分な数に達すれば、関連する臨床因子と予後などとの関連を明らかにすることが可能になる。特に非てんかん性心因性発作の病型によって、症状、治療方針、転帰などが異なることが想定される。
研究の進捗予定に変更があったため。
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COGNITION & REHABILITATION
巻: 2 ページ: 128-130