研究課題
本研究では非てんかん性心因性発作の診断および治療に関する臨床的な研究を行った。具体的な目的は以下の通りである。1)非てんかん性心因性発作と、てんかん発作との鑑別に有用な生理学的・臨床的所見を明らかにする。2)非てんかん性心因性発作を持つ患者において、患者の発作症状・臨床特性などのデータから病型分類を行い、非てんかん性心因性発作を持つ患者に対して、病型分類に合わせた個別性の高い治療法を提供する枠組みを作成する。3)非てんかん性心因性発作を持つ患者の予後調査をし、病型分類、治療法の選択と予後との関連を明らかにする。2023年度は非てんかん性心因性発作を有する患者を25名に対して診療を行い、経過を観察した。このうちてんかんも有する者は15名であり、てんかんを有していないものは10名であった。知的障害を有する者は9名であり、有しないものは16名であった。また非てんかん性心因性発作には知的障害を伴い環境不適応により出現する破局反応としての運動暴発型(クレッチマー型)と、知的障害を伴わず無意識の葛藤が身体化したと考えられるフロイト型に分類されるが、クレッチマー型が11名、フロイト型が11名、不明が3名であった。現在のところまだ少数例であり、知的障害の有無、発作症状、発症契機、成育歴、転帰等に一定の傾向は見いだせていない。今後、症例を集積していくことにより詳細な統計解析が可能になると考えられ、非てんかん性心因性発作の診療に関して有用な知見が得られると期待される。
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