Kirrel3遺伝子はドーパミン(DA)神経回路に発現し、Kirrel3欠損(KO)マウスの前頭前皮質や腹側線条体ではDA量が増加していた。KOマウスはADHD合併ASD様行動を示すことから、ADHD治療薬の中枢刺激薬を投与したところ、多動の改善が見られず、KOマウスがADHD治療薬抵抗性であることが示唆された。一方、D2DA受容体(D2R)拮抗薬やD2Rの下流シグナルであるGSK3-α/βの阻害薬の投与によりKOマウスでは多動が改善した。これらの結果から、KOマウスの治療薬抵抗性のADHD様行動は前頭前皮質や腹側線条体のDAの増加とそれによるD2Rシグナル亢進に起因する可能性が示唆された。
|