研究課題/領域番号 |
21K07531
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
岡田 尚志郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40203989)
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研究分担者 |
山口 奈緒子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50380324)
呉 ユー秋 愛知医科大学, 医学部, 助教 (40717154) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 視床下部室傍核 / 血中カテコールアミン / トロンボキサンA2 / プロスタグランジンE2 / 脳内ノルアドレナリン神経系 / ホスホリパーゼC / アドレナリン受容体 |
研究実績の概要 |
うつ病が2型糖尿病発症に関連することはよく知られている。うつ病患者では脳での糖取り込み能が低下しており、ストレスによる交感神経系の活性化を介した血糖値増加によるインスリン分泌亢進が糖尿病発症の契機になるのではないかと推測されている。しかし、ストレスに起因する血糖値増加の脳内機構についての詳細な機序は未だ明らかではない。本研究では、 うつ病での糖代謝異常の脳内調節機構における視床下部室傍核のトロンボキサンA2産生の役割を解明することを目的とする。 そのために2-デオキシグルコース(2-DG)を静脈内投与した無麻酔ラットを用いて、(1) 室傍核におけるトロンボキサンA2産生に及ぼすアドレナリン受容体、ホスホリパーゼおよびグリア細胞の及ぼす影響、(2) 室傍核トロンボキサン合成酵素ノックダウンの血糖値に及ぼす影響、(3) 室傍核におけるトロンボキサン受容体の発現および活性化を解析する。 初年度は室傍核に投射するノルアドレナリン神経系に着目し、室傍核のαもしくはβ受容体、さらにα受容体もしくはβ受容体下流のアラキドン酸遊離に関与するホスホリパーゼAもしくはCのトロンボキサンA2産生に及ぼす影響を調べル予定であった。 両側の視床下部室傍核にα受容体(フェントラミン)もしくはβ受容体遮断薬(プロプラノロール)を微量注入(100 nL)して、2-デオキシグルコース静脈内投与による視床下部室傍核透析液中のトロンボキサンA2産生を調べることはできた。フェントラミンおよびプロプラノロールの2-DG投与による血中カテコールアミン増加反応に及ぼす阻害効果は、これらを脳室内投与した既報の結果と同様であった。現在、透析液中のトロンボキサンA2濃度を解析中である。 しかし、ホスホリパーゼAもしくはCの阻害薬の検討はいまだできていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで汎用していた脳室内投与とは異なり、両側の視床下部室傍核にα受容体(フェントラミン)もしくはβ受容体遮断薬(プロプラノロール)を微量注入(100 nL)することは技術的に難しく、さらにラットの大きさ(体重)が注入部位を決める上でかなり重要なファクターとなり、再現性よく脳定位に微量注入し、その都度刺入部位の確認作業を行うために、予想外に時間がかかってしまった。しかし、処理するラット数が増えるに従って、注入部位および実験データーが安定しつつあるので、統計処理ができるよう、今後N数をさらに増やしてゆく計画である。 αもしくはβ受容体下流で室傍核におけるトロンボキサンA2産生を明らかすることができれば、脳内ノルアドレナリン神経系ーアラキドン酸カスケード系の関連を証明できることになる。
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今後の研究の推進方策 |
微量注入の手技が安定化してくれば、実験成績も安定してくるので、2021年度予定の実験は着実に進めることができる。 2022年度予定の室傍核トロンボキサン合成酵素ノックダウンラットの作成は、研究者協力者・松下夏樹 愛知医科大学動物センター准教授と具体的な計画を進めるためのミーティングを始めたところである。 室傍核に存在するグリア細胞のトロンボキサンA2産生に及ぼす影響については、ミノサイクリン脳室内投与実験を行ったところ、ミノサイクリンによって2-DG投与による血中カテコールアミン増加が抑制される傾向であることを予備実験で得ている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れてしまった原因として、両側の視床下部室傍核にα受容体(フェントラミン)もしくはβ受容体遮断薬(プロプラノロール)を微量注入(100 nL)することは技術的に難しく、さらにラットの大きさ(体重)が注入部位を決める上でかなり重要なファクターである。再現性よく脳定位に微量注入するために、その都度刺入部位の確認作業を行う行程に予想外の時間がかかってしまった。 その結果、ラット購入数、ダイアリスプローブ購入数、試薬およびその他のディスポ製品の購入が減ってしまったため、次年度へ持ち越しとなってしまった。
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備考 |
愛知医科大学医学部ホームページ
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