研究課題/領域番号 |
21K07536
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
岡田 麻美 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, 研究員(移行) (30517280)
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研究分担者 |
江口 正徳 呉工業高等専門学校, 電気情報工学分野, 准教授 (60613594)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | うつ病 / エクソソーム / リキッドバイオプシー / 精神神経科学 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
うつ病を初めとする脳に起因する疾患において、神経やグリア細胞など脳の細胞から分泌されるエクソソーム(脳由来エクソソーム)は、末梢血中で回収可能な脳内変化を反映する成分として注目されている。ただし、末梢血中における脳由来エクソソームの存在量は微量であると考えられるため、本研究では、生物学と工学の技術融合により、特異的かつ高感度に回収する技術開発を目指して検討に取り組んだ。本年度は以下のような成果が得られた。 昨年度の実施状況報告書で投稿準備中とした論文が、今年度学術雑誌に受理された。その論文にて、ヒト体液成分(血清、血漿、脳脊髄液)と脳組織中におけるテトラスパニン不均一性パターンが異なることを明らかにした。また、脳および脳脊髄液中において代表的なテトラスパニンパターンのエクソソームが、末梢血中でも低い割合ではあるが存在することが分かった。そこで、テトラスパニンパターンを手掛かりとした解析により、脳に近い表現型を有するエクソソームの評価が可能になるのではないかと考えた。ヒト臨床サンプルでの検討に先立って、背景因子が均一なマウスを用いた検討で、採取した組織や血液における様々なテトラスパニンパターンのエクソソームを解析するための基盤となる技術構築に着手した。脳に代表的なテトラスパニンパターンのエクソソームを定量するELISAを独自に構築した。それをさらに応用して、脳の細胞種特異的抗体との組み合わせによるELISAの構築も試み、現在検出感度向上のための条件検討を続けている。また、技術構築が進んだのちに測定するサンプルとして、うつ病様行動評価と紐付け可能なうつ病モデルマウス由来サンプルを作成した。また、COLO201細胞由来エクソソーム標準品を用いて,エクソソームの特異的検出を目的に、電極上への抗体修飾に関する検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テトラスパニンパターンを手掛かりとした解析手法の構築、検出感度向上に関して基礎的研究データを蓄積する事ができたため。また、電気的動力現象に抗原抗体反応による選択性を加えた融合技術の条件検討を進める事ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度蓄積した基礎的データからさらなる標的分子の探索を行う。内包成分解析に向けた検討を進めていく。また、融合技術の確立に向けて引き続き検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の物品費での使用額増加が予想されたため、次年度の使用計画に移行した。次年度必要な物品購入費に充てる。
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