研究課題
若年者の高い自殺率に大学生世代の自殺問題が占める割合は非常に大きく、支援体制の充実や自殺予防教育の徹底といった対策がとられているものの、大学生の自殺率は大きく改善せず、コロナ禍において若者の自殺は増加に転じた。そのような深刻な社会状況の中、申請者らは世界最大規模の自殺者血液試料を有する強みを生かし、「日本人若年自殺者において末梢血テロメア長・エピゲノム年齢といった生物学的年齢指標が顕著に老齢化している」現象を見出した。申請者はこの若年自殺者の生物学的異常老齢化の知見を、サンプルサイズをスケールアップして確実なものとした。その上で、自殺ハイリスク学生の末梢血テロメア長・エピゲノム年齢をInfinium MethylationEPIC arrayにて測定し、自殺念慮・自殺企図の有無や心理学的検査などの推移との関連や、対照となる健康な学生のデータとの比較を行うことで、非侵襲的かつ簡便に採取・定量できる末梢血テロメア長やエピゲノム年齢といった生物学的年齢の指標が、若年者の自殺リスクのバイオマーカーとして有用かどうかを検討した。結果として、自殺ハイリスク学生の末梢血では、末梢血テロメア長が顕著に短縮し、エピゲノム年齢が顕著に老齢化していた。アレイの網羅的DNAメチル化データを用いた自殺ハイリスク者の予測制度を検討し、本研究で扱ったエピゲノムデータが高い若年自殺リスク予測能を有する可能性を示唆できた。
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