これまで我々は、統合失調症患者の神経細胞ゲノムにおいて、レトロトランスポゾンの一種であるLINE-1配列が、神経細胞の機能や構造に重要な遺伝子の近傍に挿入されていることを示している。これらのデータをRNAレベルで検証するために、本研究ではヒト脳RNAの長鎖シーケンスデータから、LINE-1新規挿入を検出するための技術開発を行った。統合失調症患者3名分の前頭葉を使用して、PacBioシーケンサーによるRNA-seqを行い、RNAに挿入された新規LINE-1挿入の検出を探索的に試みた結果、神経機能に関与する複数の遺伝子において、LINE-1が挿入された転写産物を認めた。
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