研究課題/領域番号 |
21K07557
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
山本 直樹 国際医療福祉大学, 基礎医学研究センター, 教授 (70312296)
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研究分担者 |
井上 晃 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (50109857)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 核タンパク質 / クロマチン / 統合失調症 / 感情障害 / スプライシング / ミクログリア |
研究実績の概要 |
本研究課題では、細胞核ダイナミクスの視点に立った機能的形態解析を応用して抗核抗体関連精神疾患の分子病態を手がかりとした次世代診断技術開発の臨床応用を目指している。神経系細胞における転写・スプライシングカップリング制御タンパク質RBM10等の細胞核の機能不全を背景とした神経可塑性の障害であるという仮説に立ち、中枢神経系の細胞核タンパク質抗原の局在あるいはそのnuclear bodyダイナミズム(細胞内変動)、神経生理学的機能の障害(神経可塑性)を検討し、精神疾患の血清診断への応用や細胞核分子病態の解明をはかる。精神疾患の発症準備性および脆弱性に関する自己免疫病態仮説に基づいて抗核抗体抗原エピトープの分子特性と核内局在パターンから細胞生物学的にその病因を解明するとともに血清診断法開発の端緒とすることを本研究の到達目標としている。初年度は、主としてマウス由来ミクログリア培養細胞系をもちいて、活性化ミクログリアにおけるRBM10サブタイプの発現の変化をWestern blotting法を用いて検討した。また研究分担者である大阪市立大学の井上らが作成したタモキシフェン誘導性RBM10コンディショナルノックアウトマウスを用いて、中枢神経系におけるRBM10発現の変化にともなう標的遺伝子mRNAのスプライシングパターンの変化を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた基礎的研究および研究分担者との連携的研究はおおむね順調に進捗したが、初年度に研究代表者が異動し、新たに研究室を立ち上げたことや勤務先病院も現所属の大学関連病院に異動したことから、血清診断法開発の端緒とすることを目的とした精神疾患患者血清由来の抗核抗体の解析や神経可塑性の病態モデルとして有用なアメフラシ細胞実験系の立ち上げに遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
転写・スプライシングカップリング制御タンパク質RBM10の中枢神経系における機能とその分子病態の解析は引き続き、培養細胞およびコンディショナルノックアウトマウスをもちいて、分子病態と精神疾患モデルおよび薬物スクリーニングへの応用を目指した解析を進める。次年度以降は細胞生物学的手法をもちいて神経系細胞のヒストンアセチル化修飾に関連する分子の核内局在変化と神経系機能およびその分子病態についても調べる。またアメフラシをもちいた解析は、研究代表者が客員教授を務めている東京都立大学との協力体制を強化する。今後、患者血清をもちいた未知抗核抗体の検索について、進捗が遅れるようであれば、新たな研究分担者を加えて臨床神経精神医学部門の研究体制の強化を図ることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究進捗の遅れ(別記)を反映し、またコロナ禍の状況下で学会がハイブリッド開催となったことから旅費が必要でなくなったことから助成金の一部を次年度に持ち越しとした。次年度に研究活動成果を挙げて研究発表を積極的に行う予定である。
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