研究課題/領域番号 |
21K07558
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤間 憲幸 北海道大学, 大学病院, 講師 (80431360)
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研究分担者 |
本間 明宏 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30312359)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人工知能 / 頭頸部癌 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究は第一段階の目標として、頭頸部扁平上皮癌における腫瘍の細胞増殖能および低酸素領域の非侵襲的な画像化がある。 2021年度において、腫瘍の細胞増殖能は、MRIにおける多b値の拡散強調像から得られた腫瘍の微細構造を反映させた信号データを数学的なモデルを用いて解析し、さらにその情報をamido proton transfer(APT)イメージングより得られた腫瘍のタンパク質代謝情報と掛け合わせることによって高い精度で実現することが出来た。低酸素領域においては、多b値の拡散強調像から得られた腫瘍の微細構造を反映させた信号データおよびArterial Spin Labeling(ASL)より得られた腫瘍の血流情報を反映させたデータを数学的な仮説モデルで解析することによって比較的高い精度で画像化することが可能であった。 本研究の第二段階として、第一段階にて作成した腫瘍の生物学的性状を反映させた画像(腫瘍の細胞増殖能および低酸素領域を反映させた画像)を用いて患者の予後予測のための深層学習モデルを作成するという項目がある。ゆえに、2022年度以降は上述した画像情報を用いて個々の患者の高精度な予後予測を行うための深層学習モデルを作成する予定であるが、2021年度にて深層学習に用いるネットワークの構築を行っている途中である。現状では解析に長い時間がかかる状況であるため、ネットワーク構築の調整を複数回にわたって行い、精度を保ったままの状態で解析時間を短くできるように再構築中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頭頸部腫瘍の生物学的性状を反映させたMRIにおける画像取得および後処理解析も順調に進行しており、腫瘍の細胞増殖能、腫瘍の低酸素の程度のそれぞれにおいて精度の高い画像化がほぼ完成している状態である。また、これらの画像を解析する上での深層学習モデルの作成も進行中であり、おおむね予定通りの進行である。 2022年度以降は、実際の頭頸部癌の患者群を用いてデータの蓄積を行っていく予定であり、そのデータを用いて予後予測モデルの作成を進めていく。この検討過程で用いる予定である深層学習モデルの作成、および検証を進めていく準備も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部腫瘍の生物学的性状を反映させたMRIの非侵襲的な画像取得(腫瘍の細胞増殖能、腫瘍の低酸素領域の有無を反映させた画像)がほぼ完遂したため、今後はそれを用いた上での患者の予後予測のための深層学習モデルを作成していく予定である。全ての画像をそのまま用いるとデータ量が多すぎるため、必要なデータを抜粋する手法を開発する予定である。また、深層学習モデルにおいて、最適なネットワーク構築(層の数、層間スキップのアルゴリズム、全結合時の数値統合様式、等)を順次進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の流行持続に伴って学会の現地参加がなくなり、その分の旅費を使うことがなかったこと、また、解析作業の順番を部分的に変更したため今年度購入予定だったソフトウェアを来年度購入することに変更したこと、がありこれらが原因となり次年度使用額が生じることとなった。
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