研究課題
本研究の第一段階である頭頸部扁平上皮癌における腫瘍の機能的情報(細胞増殖能および低酸素領域)の非侵襲的な画像化は、MRIによる多b値の拡散強調像の信号情報およびamido proton transfer(APT)イメージングにより得られる腫瘍のタンパク質代謝情報、さらにはArterial Spin Labeling(ASL)より得られた腫瘍の血流情報をそれぞれ反映させ、機械学習を用いた手法で統一することによって比較的、高い精度にて実現できた。第二段階としては、これらの情報を深層学習モデルによる解析を行うことで予後予測機能のモデル化を行った。深層学習には学習の効率化のため、既存のイメージデータベースを用いて構築されたモデルによる転移学習で対応した。モデル分類の教師データには患者の原発腫瘍のT-stageや組織学的分化度、化学放射線治療に対する短期的な初期反応(腫瘍の縮小率)を用いて、複合的な要素を勘案したモデル構築を行った。今回、取得した画像情報に対して最適な深層学習ネットワークの種類およびモデル構築に最適なハイパーパラメータを複数回の処理の後に決定し、モデル構築の条件の基盤となるデータを取得した。第三段階として、実際の患者群を用いて、第二段階において構築した診断モデルがどの程度の精度を持つか、いわゆるバリデーションのための検討を行った。特に化学放射線療法の治療後初期における腫瘍の縮小率に対しては高い診断能を有したが(正診率=0.91)、現時点で長期予後の予測能は不明であり、今後は長期的な生存率、因子ごとに区分け、細分化したモデル構築および多モデルの統合などが必要であろうと予想された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件)
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