研究実績の概要 |
膵癌の発生には慢性膵炎、糖尿病、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵嚢胞などの背景膵疾患、喫煙、肥満などの生活習慣,さらに BRACA1/2, PALB2, CDKN2A, LKB1/STK11, PRSS1,ATMなどの遺伝子変異が関与していることが報告されている.しかしながら,これらの因子で構成されたrisk modelを用いても膵癌発生の予測能は高くない.われわれは非侵襲的,客観的に施行可能な非造影膵MRI画像による早期膵癌の検出法について研究してきた.本研究では, 背景膵疾患,生活習慣,遺伝子変異の有無に加えMRIの特徴量分析を行うことにより,プレクリニカル膵癌コホートを層別化し,膵癌の早期診断のためのアルゴリズムを構築する. 具体的には,①臨床膵癌症例におけるMRI画像取得と特徴量抽出,機械学習の導入②大規模地域住民コホート症例からの傾向スコアマッチングによるプレクリニカル膵癌マッチングコホート抽出と膵MRI撮像,③背景膵疾患,生活習慣,遺伝子変異,MRI特徴量の機械学習による膵癌検出アルゴリズムの構築,を行う.東北メディカルメガバンクでは,東日本大震災後の地域住民コホートの医療情報とゲノム情報を複合させたバイオバンクを作成し,現在15万人のデータを蓄積している.我々は,既知のrisk factorに膵癌症例のMRIでの特徴量を加え,地域住民コホートから傾向スコアマッチングによりプレクリニカル膵癌マッチングコホートを作成することにより,膵癌発生のリスクモデルを構築する.
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