研究課題
本研究では放射線治療の線量分布の治療計画(線量分布シミュレーション)で計算した線量分布と実際に測定した線量分布の一致度(ガンマパス率)の絶対評価 の開発を目的としている。素粒子原子核実験で因果関係のない物理量のペアの生成に用いられるevent-mixingの考え方をガンマパス率に当てはめる ことにより、ガンマパス率予測の下限値と上限値を見積もり、その範囲内でガンマパス率予測精度の評価を行う。今年度は、昨年度収集したガンマパス率のペア(実測値と予測値)の症例数を200まで増加し、またtoleranceを3種類(3%/3mm、3%/2mm、2%/2mm) から9種類(3%/3mm、3%/2mm、3%/1mm、2%/3mm、2%/2mm、2%/1mm、1%/3mm、1%/2mm、1%/1mm)に増やし、相関係数の上限値を与えるoriginal eventsと、event-mixingを用いて作成した相関係数の下限値を与えるmixed eventsを組み合わせて、予測精度の評価スコアを定量的に与えるソフトウェアを作成した。評価対象とするガンマパス率予測モデルについては、深層学習を用いたガンマパス率予測手法導入し、実際のガンマパス率予測で実績のある手法を評価対象として本研究の開発に活用している。ここで生成される上限値と下限値はそれぞれ統計的ゆらぎを有するため、これらの影響を定量的に組み込んだ評価スコアを開発した。
2: おおむね順調に進展している
本研究の研究計画では、1年目にデータ収集・ソフトウェア作成、2年目に予測手法の確立と統計的評価、3年目に複数の予測手法を用いた単一のデータの評価を行う予定となっている。2年目である今年度は予測手法の確立と統計的評価法の開発を完了した。現在までの進捗状況としては、おおむね研究計画の通りに進展していると考えられる。
今後は3年目の開発を研究計画の通りに推進する予定である。3年目は、複数の予測手法を用いて単一データを評価し、3年分の成果を 纏めて論文発表を行う予定である。
昨年度に続き今年度も新型コロナウイルス蔓延防止の影響により各種学会がオンライン開催となった影響により、次年度使用額が生じた。次年度は各種学会の開催方式を注視しながら本研究のこれまでの進捗について発表を行う。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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