研究課題/領域番号 |
21K07566
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
伊東 克能 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00274168)
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研究分担者 |
東 麻由美 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00838279)
田辺 昌寛 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90537250)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | NASH / MRI / Diffusion / T1 mapping |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)の非侵襲的な早期診断法の確立が本研究の目的であり、そのためには肝実質内の脂肪量を定量化した上で、脂肪の影響を排除したT1値の測定が必須である。実際、脂肪抑制法を併用していないIP-based T1 mappingでは脂肪含有量の増加とともにT1値が過小評価される傾向にあり、一方、OP-based T1 mappingではT1値が過大評価される傾向にあった。そのため、新たに開発された撮像技術である、脂肪の影響を排除したT1 mapping法(脂肪抑制Dixon法によるLook-Locker T1 mapping)が臨床例においても、より正確なT1値の定量に重要であることが示された。これは初年度に検討を行った模擬脂肪肝ファントムの結果に合致するものであった。また脂肪の影響を最小限にする簡便な撮像法として、IP-OP中間TE (1.8msec)撮像によるT1 mapping法でも比較的定量性の高いT1値が得られており、臨床応用可能と考えられた。一方、局所傾斜励起によるsmall field-of-view (FOV) 高分解能/高コントラストDWI(tilted zoom DWI)では、肝実質内の構造をより詳細に描出できるとともに、より正確なADC値の測定に寄与できることが推定された。 研究期間全体を通じて実施した研究成果として、脂肪の影響を排除したT1 値の定量化により、背景肝実質の炎症や線維化を反映したT1値が得られることから、NASHの進行や病態の把握における有用性が示唆された。また線維化は肝区域による分布差があることも示唆され、病態進行過程の解明にも役立つことが示唆された。
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