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2022 年度 実施状況報告書

炭素13標識抗体を用いた体内物質の低侵襲MRイメージング法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K07568
研究機関熊本大学

研究代表者

笹尾 明  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (30508487)

研究分担者 寺沢 宏明  熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (10300956)
笹尾 亜子  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80284751)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード炭素13 / 抗体 / 13C-MRI
研究実績の概要

抗体への13C標識アミノ酸導入として、1-13Cメチオニンと 2-13Cグリシンを抗体産生細胞であるハイブリドーマ細胞の培養液に添加し、13C標識抗体の作成を施行した。出来上がった抗体を含んだ培養液上清をProtein Aカラムにて精製し、SDS-PAGEにて精製度を確認した。これにより、抗体以外の夾雑物や抗体に取り込まれなかった13C標識アミノ酸を除去された抗体(IgG)を得た。これを凍結乾燥後、重水に溶解しNMR測定を行ったが13Cの信号はほとんどみられなかった。原因としてメチオニンの1位の13Cの信号が感度の低い高周波側に出るためそもそもの信号が弱く、今回の標識位置ではペプチド結合によりタンパク質の表面ではなく内部に埋もれてしまう為、信号減弱が起こっている可能性が考えられた。また、今回用いた細胞培養液は一般的な組成であり、アミノ酸が抗体に取り込まれる時、12Cと13Cのアミノ酸が競合した可能性があった。これらを確認する為、メチオニン・グルタミン・グルタミン酸除去培地にメチル13Cメチオニンと5-13Cグルタミンを添加して再実験を行ったが、NMRでの信号改善はみられなかった。このことからタンパク質内に組み込まれた13C信号低下はペプチド結合からの距離との依存性が低いことが示唆された。そこで、ウシ血清アルブミンに1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride+N-hydroxysulfosuccinimideやglutaraldehydeを使用してメチル13Cメチオニンのアミノ基を架橋させることでタンパク質表面に13Cを局在させた。未反応の試薬類を限外ろ過で除去し、凍結乾燥後に重水に溶解した試料をNMR測定したところ、積算時間3分程度で標識したメチル13Cの鋭いピークがみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度まで、試薬の入手困難や感染症蔓延、マシントラブルがあり遅延していたが、状況が改善してきており、研究に進展がみられるようになった。

今後の研究の推進方策

タンパク質への化学的架橋でNMR信号が得られる13C導入が可能となった。このことから、同様の方法で任意抗体への13C導入を試みるが、抗体の抗原との反応性を損なわないようにFc部分への選択的な13C導入も併せて検討する。また、反応の時間短縮や単純化も検討して、MRIによる画像化を実現する。

次年度使用額が生じた理由

前年度からの繰り越しもあり、入手済みの試薬にて今年度実験を行った。また、マシントラブルなどで、実験遅延があったが、現在は改善されており今後研究費は順調に執行できるものと思われる。

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公開日: 2023-12-25  

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