研究実績の概要 |
本年度では320列CTを用いた包括的心臓CTにおける撮影プロトコルの最適化を行い、最新のAI再構成を併用することで、12 mSv程度と妥当な被ばく量で飛行可能となった。加えて、心筋血流量の評価も行った。 CTPから算出される心筋血流量(myocardial blood flow; MBF)の計算法には複数あり、maximal upslope法、deconvolution法、one compartment法の3通りが使用されている。今後、心筋血流量を標準化する上では、異なる計算法でも同様の結果が得られるようにすることが重要である。そこで、令和3年度では、dynamic CTPを行った17名の患者を対象に、one compartment法にRenkin-Crone補正を行ったMBFをgolden standardとし、maximal upslope法で算出されたMBFから補正する式を対数補正による手法で導出した。補正前後のMBFをBland-Altman解析で評価した。その結果、安静時では補正前に過大評価であったMBF(mean difference (MD)=0.95, 95%CI: 0.78-1.12, p<0.05)が補正後には解消された(MD = 0.05, 95%CI: -0.09-0.20, p=0.43)。一方、負荷時では補正前に過小評価であったMBF(MD = -0.84, 95% CI: -1.57--0.11, p=0.03)が、補正後には解消された(MD = -0.02, 95% CI: -0.93-0.89, p=0.96)。 Maximal upslope法は他の計算法と比較して、計算に係る時間が短く済むため、適切な補正式を導くことができれば、解析に係る時間が短縮可能である。本年度の研究結果はdynamic CTPの汎用性を高めることに資するものである。
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