研究課題/領域番号 |
21K07573
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
富澤 信夫 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60728509)
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研究分担者 |
藤本 進一郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70385871)
三田 智也 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90532557)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 包括的心臓CT / 心筋血流量 / 数値流体力学 / 渦度 / 運動エネルギー |
研究実績の概要 |
包括的心臓CTでは実際に負荷をかけた上で血流評価を行う方法である。この研究データを基にして本年度はシミュレーションにより血流評価を行う数値流体力学のよる手法を確立した。数値流体力学では様々なパラメータを算出できるが、渦度と運動エネルギーに着目した。心臓CTとカテーテルの冠血流予備比検査を行った患者を対象として、渦度と冠血流予備比の低下(≦0.80)の関連を調べた。その結果、冠血流予備比の低下を認める血管では認めない血管と比較して有意に渦度が高いことが判明した(596±78 s-1 vs. 328±34 s-1, p <0.001)。また、渦度と冠血流予備比の間には有意な相関関係があった(R2 = 0.31, p <0.001)(Tomizawa et al. Eur Radiol 2022;32:6859-6867)。運動エネルギーに関しても同様の結果であり、FFRの低下を認める血管で有意に高い結果となった(75 mJ/kg [IQR, 58-104 mJ/kg] vs. 36 mJ/kg [IQR, 23-59 mJ/kg], p <0.001)(Tomizawa et al. Radiol Cardiothorac Imaging 2022;4(6):e220147)。冠血流予備比低下の診断能は形態的な狭窄のみでは0.76であったが、渦度を用いることで0.87に上昇し、運動エネルギーを含めると0.89まで上昇し、臨床的に有用な手法であることが言える。この方法は実際に負荷をかけなくても追加解析で行うことができることが利点であり、また、格子法ではなく、粒子法を用いているため、複雑な形状を示す血管でも内腔の再現性が高い方法であるため、実用的な手法である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19感染症の影響で患者リクルートは当初予定人数に達していないが、感染の終息が見えてきていることから、最近では回復傾向である。限られた患者数ではあるが、予定していた解析を行うことはできている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度では包括的心臓CTのデータを基にしたシミュレーション手法を確立することができ、臨床的に有用なパラメータを複数見つけることができた。 来年度はプラークの進行や予後解析を実際の負荷をかけたデータに加えてシミュレーションによる結果も含めて進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行のため、予定していた国際学会の一部に参加できず、余剰金が発生した。研究成果は次年度の国際学会で報告予定であるため、繰り越し分を使用する予定である。
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