研究課題
本研究は、腫瘍に対するRI内用療法において線量計測や線量シミュレーションの手法を用いることにより、腫瘍や臓器のマクロな線量評価の手法とミクロな線量評価の手法を開発し、それに基づいてRI内用療法の標準的な実施指針を提案し、RI内用療法の臨床研究への導入を推進することを目的とする。さらにRI内用療法において生じる第3者の被ばくについてもその手法を織り込んだ標準的な実施指針を目指している。さてRI内用療法を新たに開発して臨床に導入するにあたっては放射線安全指針のもとに治療の有効性と安全性を検証することが必要である。新規RI内用療法が次々に開発されている現在、本研究は、正常臓器や病巣の吸収線量の評価に基づいて実施指針を作成するために、標準的なテンプレートを作成する。そのような標準的なテンプレートは同時に治療手法の最適化を図ることにも通じる。そこで線量計算ソフトを導入して体内分布データに基づいて患者の線量計算手法を確立した。またラジウム-223治療を実施した去勢抵抗性前立腺癌骨転移のデータを蓄積し、個別化治療の開発に繋がる因子を解析した。さらにルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)を実際に症例において実施し、それによって得られた知見を新規RI内用療法の臨床応用に求められる要件に活用することができた。今後の新しいRI内用療法においては体内分布データの取得手法を開発することと、それに基づいた線量評価を実施するための手法を構築していくことが重要である。本研究の独自性と創造性については本研究で実施している新規核種の線量評価に基づいた手法の検討は、通常の医療施設やアイソトープ研究施設では実施困難であるが、本研究者らが新規核種を使用できる設備を持っていることにより可能である。また臨床医である研究代表者と放射線計測と線量分析を専門とする研究分担者が共同研究することが本研究の特徴である。
2: おおむね順調に進展している
線量評価についてIDAC-DoseやOLINDAを用いた手法を検証することができた。また実際のラジウム-223治療、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)治療において得られた知見を新規RI内用療法の実施指針に活用することができた。
RI内用療法が発展し続けている現在、新規手法の開発と臨床応用に際して、放射性医薬品の特性、治療プロトコール、放射線安全などを明示した実施指針が不可欠であり、標準化した実施指針の策定が望まれている。一方、投与量や投与の分割などを腫瘍及び臓器の吸収線量に基づいて決めた治療プロトコールの設定には線量評価手法自体の確立など解決すべき課題が多い。また放射性医薬品を投与された患者は線源となるので第3者(介護者・公衆)の被ばく評価に基づいた退出基準の設定や放射線安全の策定も不可欠である。本研究では、線量計測や線量シミュレーションを用いることにより、患者の腫瘍や臓器のマクロな線量評価と組織レベルのミクロな線量評価を検討、また第3者の被ばく線量の評価を検討して、それらを有機的に結合することにより、新たなRI内用療法の実施指針の標準的なテンプレートを示して臨床導入を推進する。本研究は、線量計算ソフトを導入して体内分布データに基づいてRI内用療法患者の線量計算手法を確立している。その活用に向けて実際の臨床例について、治療用核種の体内分布の画像取得を進めている。ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)を実施した症例のルテチウム-177の体内分布をイメージング手法によって取得して解析に用いる。またラジウム-223治療を実施した去勢抵抗性前立腺癌骨転移のデータを蓄積し、個別化治療の開発に繋がる因子の解析をさらに進める。これらを臨床応用に求められる要件として検証し、それを通じて今後の新しいRI内用療法を実施するにあたって必要な実施指針の標準的なテンプレートを作成していく。
研究において既存の物品を用いることができたので物品費が少なかったこと、また学会参加の一部がwebとなったため旅費が少なかったこと。2023年においては物品費、旅費とともに例年通り支出する。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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