研究課題/領域番号 |
21K07579
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
米内 俊祐 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, グループリーダー (00415431)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 放射線 / 炭素線治療 / 二次中性子 / 晩発性影響 / 照射場 / モンテカルロシミュレーション |
研究実績の概要 |
国内外における粒子線治療施設及び患者数の増加及び治療成績の向上により、治療後の晩発性リスク特に二次がんリスクが注目されている。粒子線治療において二次がんリスクの要因となりうる放射線は、治療体積周辺の線量に寄与する一次、二次荷電粒子と、全身の線量に寄与する二次中性子である。 本研究では、炭素線治療室内の二次中性子周辺線量当量分布の評価に焦点を当てる。現在まで、測定による評価では汎用的な中性子線量計が用いられているが、これらは漏洩線量等の低線量率の測定を目的に設計されていること、また、想定しているエネルギースペクトルが異なることから炭素線治療室内の測定には適さない。これらの背景から、本研究の目的は、炭素線治療室内の中性子線量測定に焦点を絞った簡便かつ精度の高い中性子線量計を開発することである。 令和3年度においては、モンテカルロシミュレーションのための計算環境の構築を行い、中性子線量計の設計及びその線量計の校正で用いる中性子場の検討のためのモンテカルロシミュレーションをモンテカルロコードPHITSを用いて行った。中性子線量計の設計については、計画時に想定した従来のレムカウンターで使用されている熱中性子に高感度のHe3比例計数管に加え、計画時には想定してなかった別のガスカウンターについても検討を行った。検討の結果、後者のガスカウンターの方が精度よく目的を達成する可能性が大きいことが分かった。このため、次年度も中性子線量計の設計検討を継続することとした。線量計の校正に用いる中性子場の検討については、量子科学研究開発機構の炭素線治療室内の中性子エネルギースペクトルをPHITSで計算するモデルを整備し、形状の異なる複数の中性子エネルギースペクトルが取得可能なことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通りに研究を遂行したが、研究実績の概要に記載した通り、研究を進める中で、計画時に想定していなかったガスカウンターがより目的を達成するために適当ではないかという可能性を得たために、当初の予定よりも中性子線線量計の設計検討に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
モンテカルロシミュレーションの実施及び今後予定している実験のために、新たに研究分担者を追加して、本研究課題の遂行をより推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
検討項目の追加により、学会発表等の計画に遅れが出ている。次年度以降の検討を加速することにより、当初の計画通り使用が可能である。
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