研究課題
本年度は、前年度までに確立された技術や見出された所見を活用し、認知症モデル動物脳における大脳回路の病態解析に向けたイメージング研究を推進した。1) マウス大脳回路における多細胞活動イメージング前年度までに、タウ病変を呈する認知症モデルマウス脳で抑制性ニューロン障害が生じる所見が見いだされたので、正常マウスと認知症モデルマウスの死後脳解析に取り組み、電気生理学的な手法や組織学的な解析を通じて病態メカニズムの解明を目指した。タウ病態の進行度に応じた認知症モデルマウス脳を用いて多角的に検討したところ、抑制性ニューロンのサブタイプの中で特にパルバルブミン陽性の介在ニューロンに選択的障害が生じている所見が見いだされた。また、同ニューロンの障害にはタウ病変の形成と並行して進行する神経炎症が寄与している可能性が示唆されるなど、炎症性グリア細胞と抑制性ニューロンの関連性について更なる発展的な検討を進めている。2) 細胞活動の全脳イメージング前年度までに性能評価を進めてきたアデノ随伴ウイルスベクター血清型PHPeBを利用した遺伝子導入法を駆使して、正常マウスとタウ病変を呈する認知症モデルマウスの炎症病態を標的としたレポーターイメージングを試みた。また、ecDHFRタンパク質と[18F]FE-TMPを組み合わせたPETレポーターイメージング法を確立し論文報告したので、同技術を組み合わせて活用し、GFAPプロモーター制御下でecDHFR-EGFPレポータータンパク質を正常マウスとタウ病態を呈する認知症モデルマウスの全脳範囲のアストロサイトに発現誘導し、脳内分布や炎症病態の画像解析の可否について検討を進めた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
iScience
巻: 26 ページ: 106342~106342
10.1016/j.isci.2023.106342