研究課題/領域番号 |
21K07586
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉森 博行 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (20711899)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 虚血性脳血管障害 / 人工知能 / 医療AI |
研究実績の概要 |
虚血性脳血管障害における画像データに対し人工知能技術を用いて検出しRadiomics解析による高次元特徴量を複合した予後予測を行うという目的において、当該年度は「脳虚血病変検出処理方法の確立」と「機械学習エンジン構築手法の確立」に取り組んだ。画像診断補助の基礎となる脳虚血病変の検出に関しては拡散強調画像とFLAIR画像を用い、病変断面の検出と病変領域の特定方法について検討を行った。 複数断面ある脳画像からまず脳虚血病変の有無を判別させるため、拡散強調画像とFLAIR画像のそれぞれにおいて、画像分類器を作成し病変有無を判別した。また、セマンティックセグメンテーション技術を用いて脳虚血病変のみを領域分割し抽出する検出モデルを作成した。次に検出された病変の信号強度を評価するためにセマンティックセグメンテーションで検出された領域に対して対側の脳領域に同サイズの関心を自動設定する仕組みを実装し、拡散強調画像・FLAIR画像および拡散強調画像収集過程で生成されたADC-mapにおいて病変と対側の脳領域の信号値ならびにADC値を比較することで超急性期・急性期・慢性期を判断することのできる統合ソフトウェアを開発した。画像分類器での病変有無判断をセマンティックセグメンテーションにおける病変領域抽出と組み合わせることで、誤検出された病変領域を除外する機能を実装した。 人工知能技術によって得られた脳虚血領域のRadiomics解析に必要なデータは得られたものの経時的データ解析における変化量の抽出まで至らなかったため、次年度前半でこの点の解析と評価および次年度計画にある脳虚血性病変の予後予測に必要な解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳虚血病変における人工知能技術を用いた検出および評価システムにおいて、複数の検出器を組み合わせることにより、脳虚血病変の検出のみならず健常側との対比を実装することで画像入力に対し、自動での検出と評価が可能となった。精度向上に関しては引き続き学習画像データ数を増やしていくため、当該年度の目的はおおよそ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
脳虚血病変検出精度に関しては、引き続き学習画像データ数を増やし精度向上に向けて学習器を更新する。経時的変化の予測に関しては、画像特徴量の経時的変化と相関のあるパラメータを抽出して、虚血性脳血管障害発症からの変化におけるデータ解析を進める。予測画像においては、人工知能技術における敵対的生成ネットワークを利用し画像生成を行い、実際の画像との差異について評価する。人工知能ならびに機械学習エンジンの機能検証の一部として、正常例に対する応答結果も検証し偽陽性率について評価を行いシステム全体の改善を図る。また、脳虚血病変に対する治療方法別での予後予測も取り入れ治療方法の選択による予後の違いも予測できる仕組みについても検討する。
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