研究課題/領域番号 |
21K07592
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石田 正樹 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10456741)
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研究分担者 |
中山 良平 立命館大学, 理工学部, 教授 (20402688)
佐久間 肇 三重大学, 医学系研究科, 教授 (60205797)
高藤 雅史 三重大学, 医学部附属病院, 寄附研究部門助教 (80899170)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 冠動脈MRA / セルフナビゲーション法 / 圧縮センシング / 5D-GRASP法 |
研究実績の概要 |
本研究では、5D-GRASP法を用いた冠動脈MRAについて、セルフナビゲーション法と圧縮センシング技術を組み合わせることで、心電図・呼吸同期が必要なく、100%の撮影効率で連続した画像データの収集が可能であることを示した。5D-GRASP法を用いることで、1回の撮影で、呼吸位相・心位相の組み合わせの数だけ冠動脈MRAの3D画像データセットが生成される。本研究の目的は、以下の3点である。1)3テスラ造影 5D-GRASP冠動脈MRAの多数の画像データセットから診断に最適なものを自動抽出するアルゴリズムの開発、2)5D-GRASP冠動脈MRAの画質および冠動脈狭窄診断能の評価、3)3テスラ造影5D-GRASP冠動脈MRAに付随して得られる左室シネ画像の定量性の精度の検証である。今年度は、5D-GRASP法を用いた冠動脈MRAの撮影パラメータおよび造影剤注入法の最適化を行い、査読ありの国際英文ジャーナルに投稿し採択された。目的1)については、アルゴリズム開発に遅延が生じており現在、冠動脈MRAの多数の画像データセットから診断に最適のものを評価者が視覚的に選択して画像解析に用いている。目的2)については、3テスラ造影5D-GRASP冠動脈MRAが行われた患者で冠動脈造影が行われた症例が限られており、診断能の評価は困難な状況が続いている。目的3)について、現在までに撮影が行われた30例のうち、代表的な1例に対して、時間分解能を20msから100msまで10ms刻みで変えた再構成を行い、通常のシネMRIと比較して最も妥当な結果を与える時間分解能が50msであることを明らかにした。その後、残りの29例についても時間分解能を50msとして画像再構成を行い、左室短軸像のシネ画像を得て、通常のシネ画像と左室容積および機能について比較し良好な一致が得られた。この内容について2023年の国際学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年は引き続き新型コロナ感染症に関する施設間の訪問などが依然困難であったため、3テスラ造影5D-GRASP冠動脈MRAの多数の画像データセットから診断に最適のものを自動抽出するアルゴリズム開発に遅延が生じていること、症例数が十分得られていないこと、研究の各ステップに必要な画像再構成は1回あたり14時間ほどかかり時間を要していることなどが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
目的1)については、アルゴリズム開発に遅延が生じており現在、冠動脈MRAの多数の画像データセットから診断に最適のものを評価者が視覚的に選択して画像解析に用いている。本シークエンスの開発元であるローザンヌ大学のグループが、最適な位相の冠動脈MRA画像を別のアイデアで再構成する技術を開発しており、今後はその方法がわれわれのデータにも適用可能かどうかを検討したい。目的2)については、3テスラ造影5D-GRASP冠動脈MRAが行われた患者で冠動脈造影が行われた症例が限られており、診断能の評価は困難な状況が続いており断念することとする。目的3)に該当する、3テスラ造影5D-GRASP冠動脈MRAに付随して得られる左室シネ画像の定量性の精度の検証については順調に進捗しており、データを補強して今年度には英語論文として投稿を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大防止のため国内外への移動及び学外の研究分担者との交流に制限があり、分担者における作業に必要な物品購入や旅費として使用予定であった予算を使用することができなかった。次年度は、所属施設の国内の施設間の移動や海外渡航の制限が緩和されることになり、作業に必要な物品購入や研究成果を海外現地開催での国際学会で積極的に発表し、旅費として使用する予定である。
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