研究課題/領域番号 |
21K07605
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長谷川 智之 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10276181)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PET / トレーサブル点状線源 / 医学物理学 |
研究実績の概要 |
陽電子放出断層撮像法(PET)は放射線医療から分子イメージング研究まで様々な分野で大きな役割を担っている。その有用性を支えているのがPET装置の物理的品質管理であり、中でも重要なのが校正と定量性評価である。本研究は、研究代表者らが世界に先駆けて考案したトレーサブル点状線源を用いる新しい校正・定量性評価法の開発をさらに進めることである。まず、トレーサブルGe-68/Ga-68点状線源の改良については、モンテカルロシミュレーション計算による物理特性評価等による知見も参考に、水中使用を可能とする構造を検討しているが、保有する線源の放射能が減衰により低下しているため、まずは、従来と同仕様の線源を1個、試作した。そして、新タイプのトレーサブルGe-68/Ga-68と組み合わせるファントムについても設計を進めた。認証機器化については、PET装置製造メーカーとの連携というアプローチの可能性について検討を継続中である。多施設連携については、新型コロナウィルスにより所属施設からの出張規制が継続しているため、引き続き学外施設での新たな実験を控えている状況であるため、共同研究者らと取得積みのデータについて解析を継続している。また、新たに対象とするPET装置についても検討を進めた。なお、同じくトレーサブル点状線源に関わるテーマで2019年度から当初3年間計画で取り組んでいた研究計画(基盤研究C)について1年間延長し2021年度も継続しており、本研究計画と密接に連携する形で進め、とくに乳房専用型PET装置に関わる研究成果について原著論文の投稿準備をほぼ完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トレーサブルGe-68/Ga-68点状線源の改良については、水中使用を可能とする新しいタイプの検討を進めているが、保有線源の放射能が減衰により低下しているため、本年度(2021年度)については従来タイプの線源を1個、購入し研究に供することとした。また、原材料費の高騰により購入価格が当初想定より高額であったため、次年度(2022年度)にてファントムの試作を目指すこととした。多施設連携については、新型コロナウィルスの影響により所属施設からの出張規制が継続しているため、学外連携施設での新たな実験を控えている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
トレーサブルGe-68/Ga-68点状線源の改良については、水中使用を可能とする新しいタイプの検討をさらに進め試作を目指す。また、同線源と組み合わせるタイプの新しいファントムの試作も目指す。多施設連携については、引き続き新型コロナウィルスによる出張規制の影響を受けるが、可能な範囲で、最新型の全身用PET装置や、特殊な小動物用あるいは部位特化型PET装置などを対象とした新たなデータ収集を目指す。認証機器化については、標準化に関わる施設等の専門家らの協力のもとでPET装置製造メーカーとの連携などについて検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度にはGe-68ガンマ線源(特注品)を購入したが、原材料費を含む価格が当初研究計画申請時の想定よりも高額であったため、ファントムを試作することができず、少額(3万円未満)の残金を無理に使い切らず、次年度使用額として次年度予算を有効活用することとした。
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