研究課題/領域番号 |
21K07606
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三島 眞代 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (40897683)
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研究分担者 |
三島 一彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00282640)
深田 淳一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50338159)
小池 直義 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60464913)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 悪性グリオーマ / 5-アミノレブリン酸 / 放射線増感作用 |
研究実績の概要 |
悪性脳腫瘍の中で膠芽腫を代表とする悪性グリオーマは最も治療困難でありまた予後不良である。その原因の一つは膠芽腫の高い放射線抵抗性にある。そこで放射線抵抗性の解除を目指す新規治療の開発が必要である。光感受性物質:5-アミノレブリン(5-ALA)は術中の蛍光診断薬として悪性グリオーマの摘出の際に臨床使用されている。その安全性、中枢移行性、腫瘍集積性はすでに確立されているが、放射線治療との併用に関してはまだ不明な点が多い。我々は悪性グリオーマに対して5-ALAによる放射線増感作用機序及び腫瘍増殖抑制の機序を解明することで新規治療法の開発を目的としている。
5-ALAと照射併用による細胞死の機序を明らかにするためヒト悪性グリオーマ細胞株を用いてフローサイトメトリーによる解析を行ったところ5-ALAを添加することで放射線増感作用はみられるが、アポトーシスによる細胞死誘導は生じていなかった。細胞死の機序として5-ALA,照射併用によるオートファジーの誘導が考えられるため、オートファジーに重要なシグナル分子であるLC3-I, LC3-IIの活性化状態をWestern Blot法で検討した。その結果、5-ALA単独、照射単独と比較すると5-ALAと照射併用ではLC3-IIの増加傾向がみられた。更に、オートファジー阻害薬であるクロロキンを添加することで5-ALAの放射線増感に対する影響をWestern Blot法で検討した。しかし、5-ALA単独、照射単独と5-ALAと 照射併用ではあまり差がみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
皮下腫瘍及び脳腫瘍モデルマウスを用いてin vivoにおける5-ALAの放射線増感作用とその機序を解明するため6週齢のBALB/c nu/nu雌マウスの大腿部皮下にヒト悪性グリオーマ株の細胞を移植するモデル腫瘍を作成する予定であった。しかし、新型コロナ感染症拡大の影響により動物実験施設への入室制限などがあり、実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
6週齢のBALB/c nu/nu雌マウスの大腿部皮下にヒト悪性グリオーマ細胞株を移植するモデル腫瘍を作成し、無治療群、放射線治療単独群、5-ALA投与単独群、5-ALA+放射線治療併用群、4群間の腫瘍量を経時的に比較する。また各治療群の腫瘍を摘出しホルマリン固定パラフィン包埋切片を作成し、免疫組織化学的に細胞増殖能、血管新生能を検討する。更に5-ALAの放射線増感作用のメカニズムをマイクロアレイ法により解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大の影響により動物実験施設への入室制限などがあり、実験が遅れているため、動物実験のために購入予定だった試薬等が翌年度に購入することになった。
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