放射線による脳や小腸(腸管)の組織障害において、炭素線照射による興奮性アミノ酸や抑制性アミノ酸の経時的変化をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって一斉分析を行なったことで、細胞壊死に関わるNMDA受容体の活性化にはグルタミン酸の有意な増加と抑制性アミノ酸GABAの減少が伴っていることが明らかとなった。このことは、脳腫瘍放射線治療後に生じる高次脳機能の低下や放射線脳壊死を防ぐためには、NMDA受容体の活性化の効率的に抑制する必要があることを示唆しており、これらの研究成果によって、NMDA受容体の活性化を防ぐ防護薬の最適投与時間の推定が可能となったと考えられる。
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