研究課題/領域番号 |
21K07613
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山田 圭一 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70323334)
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研究分担者 |
渡辺 茂樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員 (10450305)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トリプルネガティブ乳がん / 膜透過性ペプチド / 抗腫瘍環状ペプチド / 標識合成 |
研究実績の概要 |
今年度は研究計画調書に従って、課題①から③に関する以下の研究を行った。 1)課題①(At-211標識膜透過性ペプチドの合成)に関して、L-アルギニン及び(4S)-グアニジノーL-プロリン((4S)-GPro))で構成される膜透過性ペプチドにケイ素置換アミノ酸を結合させた標識前駆体を合成した。従来法による合成法では欠損ペプチドの副生が問題となった。合成条件を検討した結果、固相担体としてChemMatrixを使用することで欠損ペプチドの副生を低減できることが分かった。また,(4S)-GProのジアステレオマーである(4R)-GProを用い,ChemMatrixを固相担体と伸長時にマイクロ波照射を併用することにより欠損を大幅に低減できることが分かった。 2)課題②(At-211標識抗体の作成と評価)に関して、Fc領域特異的に標識可能なCCAP法に用いるFc領域高親和性環状ペプチドAc-DCAYHXGELVWCTFH-NH2 (2位と12位のシステインはジスルフィド架橋,6位のXはノルロイシン)を合成した。 3)課題③(At-211標識ペプチドを封入した高分子ミセルの調製)について、培養トリプルネガティブ乳がん細胞に対して細胞毒性を示す疎水性環状ペプチドSA-Iのヨード基をトリエチルシリル基に置換したAt-211標識前駆体ペプチドcyclo[Phe(4-TES)-Leu-MeLeu-Val-Leu)](TES=トリエチルシリル)を合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は抗体標識用の膜透過性ペプチドの合成とAt-211標識合成に資するケイ素置換基含有抗腫瘍環状ペプチドの合成まで完了し、合成における課題や効率的合成に向けた改善策に関する知見を得ることができた。しかし、研究に携わる人員が限られていることと、研究以外の業務に多くの時間を割くことを余儀なくされたため、当初計画に挙げた抗体の標識実験実施できなかった。そのため、進捗状況を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は膜透過性ペプチドを抗体に標識する実験を進める。またCCAP法に用いるFc高親和性ペプチドにケイ素置換基を導入した標識前駆体を合成し、標識条件の検討を行う。これらと同時にもう一つの課題として計画した抗腫瘍ペプチドを封入する水溶性高分子ミセルの合成も進め、物性評価を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった卓上マイクロ遠心機と電気泳動用設備に関して中古品を学内の研究者から譲渡を受けた。そのため、研究遂行に必要な備品の再検討すべく購入計画をいったん白紙化し、研究費の大半を次年度に繰り越すこととなった。今年度の合成研究の結果化合物の精製装置の整備が不可欠だと判断したため、その準備を行っている。具体的にはリサイクルHPLCの整備に必要な備品の購入を計画しており、適切に予算執行する予定である。
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