文献から得られる放射線感受性データを用いて、放射線感受性が高いIMR32とHEC251、放射線抵抗性をもつHepG2とKMRC1について、2Gyのガンマ線を照射し、約5時間後にRNAを採取して、RNA-seqによる遺伝子発現の測定を行った。ベースライン(通常時)の遺伝子発現のデータはCCLEで取得できるが、照射後の遺伝子発現データは限られており、放射線感受性が高いおよび低いについて、系統的なデータは取られていない。当初は各条件で、1サンプルのRNA-seqを実施する予定であったが、文献によるとサンプル数は6がよいとされているが、予算の都合もあり、それを実現することは難しく、本研究ではbiological replicateとして3にした。よって、24件のRNA-seqを実施した。fastpでクオリティチェックおよびトリミングをした後、STARでリファレンス配列にマッピングを行い、DEGseq2で照射前後の発現差異を検出した。また発現変動遺伝子についてはエンリッチメント解析を行った。その結果、残念ながら放射線感受性の違いによって、特徴的に発現する遺伝子の同定はできなかった。しかし、解析手法についてはまだ改善の余地があり、今後の課題として残った。 また各細胞株のガンマ線照射における細胞生存率の測定により放射線感受性の確認を試みた。しかしながら、ガンマ線照射施設は外部施設を利用したが、そこで照射したのち、コロニーアッセイを行ったがなぜかコロニーがあまりできずに、残念ながら細胞生存率曲線を取得することができなかった。これについては調査中であるが、元々コロニーをあまり形成しない細胞株であることは確認した。コロニーアッセイは、増殖死を評価するのに非常に有効な手段ではあるが、他の生存率測定(例えばハイスループット法)を検討するべきだったかもしれない。これについては今後の課題として残った。
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