研究課題
拡散MRIから様々な定量値を算出し、乳がんの病理学的因子やサブタイプを始めとする分子生物学的因子と関連付けることにより、臨床において汎用性の高い予後などの予測が可能なイメージングバイオマーカーにつき探索した。前臨床研究ではB16腫瘍マウスモデルを使用して、異なる拡散時間で算出したshifted ADC(b値=200, 1500s/mm2)とshifted ADC変化率が腫瘍細胞のN/C比やKi67標識率などとの相関を示し、これらの結果を学会で発表した。さらに、IVIMフィッティング法がIVIM定量値にどう影響するか検討した。CD31から得られる血管数や血管面積とIVIM定量値との相関は本腫瘍モデルにおいては認められなかった。CT26及び4T1腫瘍マウスモデルで、抗PD-1抗体治療群と無治療群のDWI/IVIMパラメータを比較し、抗PD-1抗体治療後の微小灌流の減少が示唆された。CT26モデルでは治療群の腫瘍が無治療群に比べて有意に低いfIVIMを示し、4T1モデルではS indexが低くADC0値が高い傾向を示したが、統計学的有意差は見られなかった。これらの結果は抗PD-1抗体治療による腫瘍のアポトーシスの可能性や腫瘍の種類による治療反応の差が示唆される。臨床研究では、多数のb値を用いた乳房拡散強調画像から、非ガウス拡散モデルを用いて算出された定量値(Kurtosis)が転移予測バイオマーカーとなる可能性を示し、論文化した。さらに、SPEN、SS-EPI、RESOLVEの三つの異なる拡散強調像を用いて乳房病変の見えやすさとADC値を評価した。SPENはSS-EPIよりも病変が見えやすく、RESOLVEよりも低かった。乳房病変におけるSPENのADC値は他よりも低い傾向にあった。これらの違いは異なるb値など撮影や評価条件の違いの影響が考えられ、学会発表を行い、論文執筆中である。
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