研究課題
基盤研究(C)
本研究は、粒子線治療の計画段階における粒子の飛行距離の不確実性を解消するための新しい取り組みである。兵庫県立粒子線医療センターのシンクロトロン加速器で生成される150 MeV/uのエネルギーを持つヘリウム粒子を使用し、コーンビームの投影データを一度に収集する拡大照射法により撮影時間の短縮が可能な新しいICTシステムの開発を目指している。暗箱システムに搭載したCMOSカメラの最適な位置を検討し、中性子ノイズの影響を抑えた高解像度のICT画像の取得に成功した。得られたICT画像の再現性と直線性を評価し、治療計画の精度向上に寄与することが期待される。
放射線治療
これまでのイオンCT研究は主に陽子線を使用するシミュレーションにとどまっていた。陽子は物質中の多重クーロン散乱により空間分解能の改善が難しい。過去のICTシステムは複数のシンチレーター検出器を必要とし、長時間の測定時間と高額な費用を要していた。申請者らの提案するシステムは、通過粒子の堆積線量から水等価厚を直接推測し、撮影時間を1時間程度に短縮できる。費用対効果に優れ、将来的な臨床応用が期待される。