研究課題/領域番号 |
21K07626
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山内 哲司 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40771853)
|
研究分担者 |
池川 雅哉 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60381943)
西尾福 英之 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80458041)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 肝細胞癌 / TAE / 質量分析 / イメージングマススペクトロメトリー |
研究実績の概要 |
肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術(Transarterial Embolization; TAE)は肝動脈血流を塞栓物質により遮断し、肝腫瘍を阻血・壊死させる治療法で、長年、切除不能肝細胞癌に対する標準的治療法となっているが、治療後に高確率で肝内再発が認められ、徐々に臨床的に悪性度が増し、治療継続が困難となる症例が多く経験される。これは腫瘍細胞とその周囲の微小環境の低酸素が原因となって、HIF(Hypoxia Inducible Factor)など様々な因子が増加、血管新生や薬剤排出などを誘導し治療抵抗性や再発につながるとされている。治療後の組織は様々な修飾が加わっていることから、CTや超音波などでの検出が容易ではないことも、臨床上は問題となっている。 本研究では、当施設で以前から行ってきた肝細胞癌ラットモデルにTAEを行ったのち、共同研究施設に運搬し、イメージング質量分析(Imaging Mass Spectrometry; IMS)の技術を用いて、その局所および血液や胆汁内にどのような物質・代謝の変化が生じるかを網羅的に探索することで、再発や治療抵抗性につながる物質の早期の変化を発見したい。 IMSは非常に精密な情報を収集できる技術であるが、生体内では使用できない。そのため、ターゲットとなる物質の分布について、生前画像(主に超音波、CT)との対比も同時に行い、医学画像での評価とも関連付け、医学画像や血液などから、生体内において早期に検出可能な手法の開発を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝細胞癌ラットモデルに治療修飾を加えずに、実際に共同研究施設に運搬、少し条件を変えながら、どのような保存、運搬方法で、完全なデータ採取が可能かどうかを確認できている。
同時に肝細胞癌ラットモデルの作成(生着)、そのTAEの手技、局所での虚血性マーカーの動きなどの基礎となるデータ採取を行っている。すべてのモデルラットに生着しないことや、治療侵襲で亡くなるラットがいたりするため、当初の予定より少し動物の数を増やす必要があったため、現時点では質量分析の方に軸足を移す段階に至っていない。 またCOVID-19の影響で、術者の出勤停止なども響いている。
|
今後の研究の推進方策 |
方法は大きく変えずに進める予定である。 IMSでのデータ採集は時間のかかる技術であるため、たくさんの検体に対して、どのような日程で測定を行っていくかが課題である。チーム内で密に連携して推進していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画の通りに進捗しなかったため。 計画内容に大きな変更はないため、引き続き実施していく。
|