研究実績の概要 |
アミロイドPETの解析方法として、従来用いられる視覚評価、および関心領域と参照領域の集積値の比であるSUVRを用いた定量評価に加え、非特異的集積部位である白質の影響も考慮したうえで、個々の被検者脳内のアミロイド蓄積の量を視覚的にも理解しやすいヒストグラムで表現する解析方法を開発した。 本手法では、第一段階として、健常者からアルツハイマー病(AD)を含む認知機能障害が疑われる患者に対しF-18-FPYBF-2(FPY)PET/CTのCT画像を用いて全脳だけを抽出しそのヒストグラムの形態からSkewness, Mode/Mean比などのパラメータが、集積量を反映することを見いだした。さらにヒストグラムより高い集積値を呈する上位20%の体積を占める部位を、それぞれの被検者脳のCT上に色づけするTop20%-Mapは、生理的に高集積を呈する脳梁などの集積を後部帯状回や楔前部などの特異的集積部位と区別して集積部位を客観的に描出する良い方法であることを見いだした。 このヒストグラムの構造を分析するために、白質probability mapを活用して、灰白質と白質のヒストグラムGM-histogram/WM-histogramを分離することにより、アミロイドの異常蓄積量に伴う灰白質のヒストグラムの形態変化(kurtosisの低下、一峰性から二峰性へ)を見いだし、SUVRでもとらえにくい早期の変化を抽出可能であった。 本法の他の薬剤への汎用性を調べるためにC-11-PiB(PiB)、F-18-Flutemetamol(FMM)、F-18-Florbetapir(FBP)などの薬剤とFPY製剤の2製剤を用いた比較検討を行った(それぞれ13,11,9例)。各トレーサにより集積パターンに際はあるが、GM-histogramの形態はSUVRと遜色のないトレーサ間の相関性がみられた。
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