研究課題/領域番号 |
21K07639
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹中 重治 東京大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (10623564)
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研究分担者 |
山下 英臣 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70447407)
今江 禄一 東京大学, 医学部附属病院, 副診療放射線技師長 (80420222)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 深層学習 / 画質改善 / 放射線治療 / CBCT画像 |
研究実績の概要 |
放射線治療はがんの三大治療法の1つとして確立している.放射線治療の中でも体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiation therapy:SBRT)や強度変調放射線治療(intensity modulated radiotherapy:IMRT)は高精度な治療法であり,治療時の標的や正常組織の位置精度が重要である.治療時の位置合わせとして,放射線治療装置に付属されているCBCT(cone beam computed tomography)が利用されている.一方,放射線治療において,実際に患者に投与された線量分布を求め,評価することは正確な治療効果や副作用の予測という観点で重要である.治療直前や治療中に撮像するCBCT画像は標的や正常組織の位置を反映してはいるものの,放射線治療の計画時に撮像されるCT画像と比較して画質が悪く,線量計算に用いることができない. 本研究では,深層学習によって画質改善したCBCT画像を用いて,治療期間内に患者に投与された積算線量分布を構築するシステムを開発することを目的とする.研究期間内には、①深層学習を活用して撮像されたCBCT画像を画質改善し,生成された画像の定量評価や視覚評価を行う.②生成された画像に対して線量計算し投与線量分布を求める.③DIR(deformable image registration)を用いて各治療日の投与線量分布を治療計画用CT画像に合わせ込み,積算させる.④構築した線量分布から,標的や正常組織への投与線量を治療 計画と比較し評価する.当該年度では前立腺癌を対象として,画質改善されたCBCT画像に対して線量計算を行い,投与線量分布を求めた.求めた線量分布を治療計画と比較し、評価を行った.ここまでの研究成果を国内の学術大会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,深層学習によって画質改善したCBCT画像を用いて,治療期間内に患者に投与された積算線量分布を構築するシステムを開発することを目的とする.深層学習によって生成されたCBCT画像に対して線量計算を行い,治療計画用CT画像によって計算された線量分布と比較し,評価を行った.画質改善によって,CBCT画像に対する線量計算精度が向上し,治療計画用CT画像で計算された線量分布と同等の精度で計算できることを確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,治療期間内に患者に投与された積算投与線量分布の構築に向け,以下の項目について研究を実施する.画質改善されたCBCT画像から求めた各治療日の線量分布をDIRを用いて合わせ込み,積算させる.構築した線量分布から,標的や正常組織への投与線量を治療計画と比較して評価する.線量分布の積算にはDIR等の誤差が含まれるため,誤差が大きい場合には原因の追求と解決を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた国際学会での研究発表を見送ったため、次年度使用額が生じた。次年度以降では国内外の発表や国際論文作成で必要な校閲費用等で有効に活用する予定である。
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