研究課題/領域番号 |
21K07643
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中山 雅央 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (60582004)
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研究分担者 |
石原 武明 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (10546477)
椋本 成俊 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (70634278)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マイクロバブル / 放射線治療 / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
本研究は、放射線抵抗性がんに対するナノ粒子とマイクロバブルによるハイブリッド放射線増感剤の有効性の検証を目的とする。金属ナノ粒子は放射線照射の効果を増強することがすでに多くの研究で示されている。それゆえ有力な放射線増感剤として期待されるものの、その投与方法や細胞へのターゲティングにおいて課題があり、臨床応用には至っていない。一方でマイクロバブルは超音波診断の微小気泡造影剤として臨床使用されているが、いくつかの研究において放射線治療と併用することにより、がんの殺細胞効果を高める効果があると報告されている。さらにマイクロバブルは超音波照射によって一時的に細胞膜に穿孔を生じさせることでき、それにより薬剤の細胞内への導入が容易になるという特徴がある。そこで本研究では、従来のナノ粒子放射線増感治療法にマイクロバブルを加えることにより細胞内へのナノ粒子取り込みを促進させ、かつそれらの放射線増感作用が相乗的に増強するかどうかを検討する。 本年度は主にマイクロバブルとナノ粒子の超音波照射に対する反応に関して基礎的検討を実施した。マイクロバブルに対する照射では、高MI値の超音波照射であるほど多くのマイクロバブルが破裂することを高倍率顕微鏡下で観察した。マイクロバブルに超音波照射をするだけでは活性酸素種の量に有意な変化はなかったが、それにX線照射を加えると、X線照射単独の場合に比べて活性酸素種の増加傾向がみられた。これらの結果はマイクロバブル併用によるX線照射効果の増強を期待させる。一方でナノ粒子は超音波照射とマイクロバブルに対してそのような相加・相乗的な変化は見られなかった。次年度ではがん細胞を用いたin vitro実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で一部の共同実験機器の使用制限があったこと、予定していた実験助手からの協力が得られなかったこと、および学生指導も兼ねて本実験を進めていることが理由により、特に細胞実験の項目で予想していたよりも進捗が遅れているが、全体の計画の中では大きな遅れではなく許容範囲内である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い主に細胞実験を実施する。マイクロバブルとナノ粒子併用による放射線増感効果をコロニーアッセイ法等により調べ、さらに活性酸素種の測定やナノ粒子の細胞内への導入量なども評価する予定である。一連のデータがそろえば学会報告ならびに論文化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で一部の共同実験機器に使用制限があり、それに関する項目が実施できなかったため。それらは次年度以降に実施する予定であり、本研究全体の使用額としては特に変更はない。
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