研究課題/領域番号 |
21K07644
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西山 祐一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80730598)
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研究分担者 |
森田 明典 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90334234)
金井 昭教 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (60549567)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オルトバナジン酸ナトリウム / p53 / 遅発性腸管障害 / 放射線骨髄障害 / 血管内皮損傷 / 炎症 |
研究実績の概要 |
放射線被ばく後の初期応答因子であるp53は、放射線骨髄障害における障害促進性因子であるが、放射線腸管障害においては障害抑制性因子として機能するとされる。研究代表者らは、p53制御によってこれらの障害を効果的に抑制可能な、p53制御性放射線防護剤の開発を進めてきた。近年では、p53阻害作用を有するオルトバナジン酸ナトリウム(バナデート)が、腹部照射後マウスの急性腸管障害は防がない一方で、遅発性障害を抑制できる可能性があること、さらに全身照射に対しp53非依存的な骨髄死抑制効果を示すなどの新たな知見を得た。本研究の目的は、バナデートが遅発性腸管障害を抑制する機序を解明するとともに、バナデートが有する新規放射線防護作用機序を明らかにすることである。 これまでに、バナデートの全身照射に対するp53非依存的防護効果の機序を探るため、全身照射を行ったTrp53ノックアウトマウスの骨髄および腎組織よりRNAを抽出し、次世代シーケンサーによるmRNA-seq解析を行った。その結果、バナデート投与により照射後の炎症関連遺伝子の発現上昇が抑制される傾向にあり、これが全身照射に対するp53非依存的防護効果に寄与している可能性が示唆できた。また、照射約30日以降に生じる激しい下痢等で特徴づけられる遅発性腸管障害を再現良く誘導可能なマウス尾側半身分割照射法の構築を進め、適切な照射条件を特定することができた。 最終年度は構築した尾側半身分割照射法により遅発性腸管障害に対するバナデートの有効性を詳細に評価した。その結果、バナデートは遅発性腸死を効果的に抑制し、有意に生存率を向上させた。また、FITC-dextranを用いた腸管バリア機能の評価などから、バナデートは腸上皮を保護することで遅発性腸死に対する防護効果を発揮しているわけでないことがわかった。
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