研究課題/領域番号 |
21K07656
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
古徳 純一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (70450195)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 人工知能 / 説明可能性 / 放射線診断 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,説明可能な医療AIのための数理モデルの開発である.医療AIの精度の近年の向上には目を見張るものがあるが,現実の医療現場には今ひとつ浸透していないのが現状である.大きな障害となっているのは,画像を含む医療AIの判断を,納得して自らの判断に取り込むことができないということであろう.医師をはじめとする医療スタッフが医療AIを道具として医療を進めるためには,説明可能性は必須の事項である.本研究では,1. 医用画像から診断根拠を提示できる診断技術の開発 2.医療データをもとに因果関係を自動的に構築する数理モデルの開発 3. 時系列データから診断根拠を提示できる診断技術の開発を行い,医療現場で医師が安心して判断の根拠の一つとして使えるような,説明可能性の技術の開発を目指す. 1)医用画像から診断根拠を提示できる診断技術の開発については医用画像からディープラーニングを用いて判断する際に,判断の根拠領域を事前にインプットする方法について特許出願中である.また,この成果について,秋の学会で発表予定である. 2)医療データをもとに因果関係を自動的に構築する数理モデルの開発 大阪府の国民健康保険のデータを用いて,大規模な医療データから,いかにしてデータの因果関係を取り出すのかという点について,単に数理モデルの理解に留まることなく,データクレンジングの詳細や,プログラムの実装方法について詳細にまとめた. 3)についても順調に開発が続いており,2022年度の秋の医学物理学会で発表予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,基本的な要素技術の開発を行った. 1)現在のディープラーニングを利用した画像診断において,判断の根拠の可視化の標準的な方法とされているGradCAMなどを使用すると,診断そのものは正しくても,しばしば専門家から見ると見当違いの場所を根拠にしていることがあり,臨床応用のためには,もっともらしい判断根拠を提示する必要がある.そこで,判断根拠として専門家の知見を事前にインプットできる方法の開発を行い,特許を出願した.秋の学会で発表予定である. 2)大阪府の国保データを使用した解析に使用する因果探索モデルであるLiNGAMの実装方法や,加工されていない生の保険データを扱う際の失敗例や具体的な注意ポイントについて招待論文にまとめた. 3)大阪府の60万人規模の国保データを使ったデータを対象にした内容については2022年度の秋の医学物理学会で発表予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
現在まで得られた結果について,論文にまとめて出版する予定である. 今後は,画像の判断根拠となる部分を指摘する技術の内容について,学会発表や論文発表を行う予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため国際学会への旅費の支出がなかったので次年度に繰り越すことになった.次年度は,論文投稿費や旅費に使用する予定である.
|