研究課題/領域番号 |
21K07657
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山室 美佳 近畿大学, 大学病院, 技術職員 (90837866)
|
研究分担者 |
近藤 世範 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10334658)
浅井 義行 近畿大学, 大学病院, 技術職員 (30639307)
石井 一成 近畿大学, 医学部, 教授 (50534103)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | マンモグラフィ / 乳腺密度計測 / 非圧迫領域 / 乳腺密度推定 |
研究実績の概要 |
過去2年間において,人工知能(ディープラーニング)を応用して3次元乳腺密度を再現性良く高精度に計測するシステムを開発した.開発システムは計測精度が商用として市販されている装置を上回っているが,一方,乳腺組織が乳房の大部分を占め脂肪組織がほとんど存在しないような乳房に対しては十分な性能を発揮することができなかった.そこで今年度は,乳房中の脂肪組織と乳腺組織の割合に依存せず安定した乳腺密度計測を実施できる新たなシステムを開発した. この新たな乳腺密度計測システムを開発する過程で,マンモグラフィにおける非圧迫領域(圧迫板に乳房が接していない領域))を正確に検出する手法を考案し,マンモグラム上に表示する技術を開発した.この技術により,従来から問題となっていた,厚い乳房において乳腺密度が過小評価されるという現象を未然に防ぐことが可能となった.この手法を昨年12月に特許出願した. 当該年度に得られたさらなる成果として,乳房画像が無くても,マンモグラフィ撮影時に記録された撮影条件を使って乳腺密度を推定可能であることを見出した.近年,乳腺密度の経時変化を乳癌診療のバイオマーカーとして利用する研究が行われ始めているが,十分な成果を得るには至っていない.その理由は生データマンモグラムが保存されていない過去のマンモグラフィでは乳腺密度を正確に計測することができないためである.本研究で構築した乳腺密度推定法は,撮影条件が記録されていれば,生データマンモグラムが無くても過去に遡って乳腺密度を算出することが可能であり,本研究課題である乳腺密度時系列分析に基づく対側乳癌発症予測の基礎をなす技術である.この乳腺密度推定技術についても,昨年12月に特許出願を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
乳腺密度推定技術をよりいっそう向上させるために,従来の重回帰式に加え人工知能を用いた推定技術を構築するためにプログラミング専門業者と委託契約を締結中であるが,その契約締結に予想以上の時間を要しているため,若干研究の進捗に遅れを生じている.次年度はプログラミング専門業者との委託研究の契約締結に対して所定の費用を支払う予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
研究課題である対側乳癌発症予測技術を構築するための基礎となる乳腺密度推定技術において,当初予定していた重回帰分析だけでなく,あらたに人工知能技術を利用することで,課題全体の精度向上を目指していく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
乳腺密度推定技術をよりいっそう向上させるために,従来の重回帰式に加え人工知能を用いた推定技術を構築するためにプログラミング専門業者と委託契約を締結中であるが,その契約締結に予想以上の時間を要しているため,若干研究の進捗に遅れを生じている.次年度はプログラミング専門業者との委託研究の契約締結に対して所定の費用を支払う予定である.
|