研究実績の概要 |
乳癌の罹患や転移のリスクを評価する上で, マンモグラムを用いた 3次元乳腺密度(以下, 乳腺密度)の高精度な計測は重要である. 2022年度までの2年間において, 人工知能技術(ディープラーニング)を応用して乳腺密度を再現性良く高精度に計測するシステムを開発した. そしてこの計測結果を元に画像を用いない乳腺密度推定の検討を行なってきたが, 本年度はこの推定システムにディープラーニングを適用することで, これまでの推定率を上回る結果を出すことに成功した. まず, ディープラーニングシステムの前段階として開発したマシンラーニングのXGBoost, Random Forestの両モデルでは, これまでの重回帰分析の推定率と同程度か,もしくはわずかに上回る程度の推定率であった. 一方,ディープラーニングモデルではResidual Network(ResNet)を用いて開発を行うことで同じ独立変数(年齢, 管電圧, mAs値, 乳房厚の4変数)を用いても, 重回帰分析やマシンラーニングよりも高い推定結果を出すことに成功した. この成果により,画像がなくてもマンモグラフィ検査の撮影履歴さえ残っていれば, 対側異時性乳癌発症予測の研究に必要な乳腺密度の経時変化を正確に捉えることができるようになった.次年度(最終年度)は今回開発したResNetモデルを用いて乳腺密度時系列分析を実施し,対側異時性乳癌発症予測システムの開発に取り組む予定である.
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